ロシア軍、滑空爆弾で自国内を爆撃し始める 逆侵攻封じ込めに必死
ウクライナによるロシア西部クルスク州への侵攻は10日、5日目に入った。これまでに州内で15kmあまり前進したウクライナ軍部隊は、支配地域拡大のため急いで進軍した際に残していたロシア部隊の掃討に取りかかっている。 対するロシア軍は強力な滑空爆弾の使用に踏み切り、道路を移動するウクライナ軍の車列などに投下し始めている。 数百kgの炸薬を搭載し、40km以上の射程がある滑空爆弾、ウクライナでの通称「KAB」は、1年以上にわたりロシア軍の最も強力な攻撃兵器となってきた。ロシア軍は地上部隊の攻撃に先立って、滑空爆弾でウクライナ側の防御施設を破壊するのが常套になっている。 クルスク州ではその滑空爆弾が防御のために使われている。滑空爆弾は、ロシア軍の新たな増援部隊がクルスク州に到着するまでの間、ウクライナ側の攻撃を遅滞させるための主要な手段になるかもしれない。 発射後に翼が展開し、衛星誘導される滑空爆弾を、ロシア空軍のスホーイSu-34戦闘爆撃機などは1日あたり100発もウクライナに投下している。つい最近までは主に、ロシア軍が今春以来、多大な犠牲を払いながら徐々に前進しているウクライナ東部の前線で使われてきた。 ロシアのウクライナ全面侵攻開始から2年5カ月半たつ今月6日、ウクライナ軍の少なくとも5個旅団の先鋒部隊がウクライナ北部スーミ州からクルスク州に逆侵攻を仕掛けると、滑空爆弾による爆撃作戦はにわかに北方にシフトすることになった。 ウクライナ軍の大隊がスーミ州の拠点から出撃するなか、ロシア側はこの方面への爆撃で対応した。ウクライナ軍参謀本部は7日、「スーミ方面で戦闘が激しさを増している。敵は航空機、ヘリコプター、重火器を積極的に使用している」と報告している。 ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)も10日、「作戦領域での敵の航空活動に顕著な変化がみられる。現在、誘導爆弾(KAB)打撃全体の最大5割が、クルスク州とスーミ州の領域に対するものになっている」との評価を示している。