ロシア軍、滑空爆弾で自国内を爆撃し始める 逆侵攻封じ込めに必死
ウクライナ側も対応装備を配しているが、爆撃は激化する可能性
ウクライナ側はこうした動きを想定していたようだ。ロシアのある軍事ブロガーは、ウクライナ軍がこの方面に「相当な数の防空システムを持ち込んでいる」と述べている。ロシアの別の軍事ブロガーによれば、ウクライナ軍はジャマー(電波妨害装置)も配備している。ジャマーは、衛星誘導の滑空爆弾も目標からそらせる場合がある。 ウクライナ軍の防空部隊は自爆型のドローン(無人機)による大きな支援も得つつ、ロシアのヘリコプター数機を撃墜している。一方、ロシア軍の砲兵部隊はウクライナ軍のブーク自走防空システム1両を損傷させている。 ロシア軍はスーミ州に対する砲爆撃では、ウクライナ軍部隊がクルスク州内に侵入して進撃し、スジャ町など複数の町や村落を制圧するのを抑えられなかった。さらに増援部隊も動員したが、一部はクルスク州の前線に到達する前にウクライナ側の砲撃に阻まれた。 そのため、ロシア軍は戦闘爆撃機で自国領内を爆撃し始めた。8日、クルスク州のウクライナ側支配地域の北端あたりに位置するダリノ村で、ウクライナ軍の複数の車両に向けて滑空爆弾が投下された。9日にはダリノからほど近いレオニドボ村周辺で、ウクライナ軍部隊に対して滑空爆弾が落とされた。 最大で3tクラスのものもあるロシア軍の滑空爆弾は強力だが、命中精度はあまり高くないので、目標周辺にいる民間人を重大な危険にさらす。もちろんこれは、ロシア軍が民間人自体を目標にしていないとすればの話だ。 ロシアの政権はウクライナの民間人を誤って殺害することは歯牙にもかけないのかもしれないが、ロシアの民間人の殺害についてはもう少し気にしているらしい。クルスク州に対する爆撃が激化するなか、当局は地元住民に避難命令を出した。 これはウクライナ軍の侵攻部隊にとって不吉な動きだ。住民が避難すれば、ロシア軍は躊躇せず爆撃できるようになる。
David Axe