サブカル文脈から読み解く日本アイドル、BABYMETALと新しい学校のリーダーズ
こういう格好でこの曲を歌うんだっていうのが衝撃だった
オトナブルー / 新しい学校のリーダーズ 田家:後半は新しい学校のリーダーズについて。「オトナブルー」。2020年5月に配信発売されて、去年一昨年のシーンを席巻した曲ですね。 西澤:この曲でかなり大ブレイクしましたね。 田家:いやー、びっくりしましたもんね。これを聴いたとき。 西澤:この楽曲って、僕が聴いても懐かしさみたいな感じがするんですけど、田家さんは最初聴いたときどんな印象でしたか? 田家:山本リンダだと思いました。そして、彼女たちの制服姿、セーラー服姿とあのメイクに驚きました。こういう格好でこの曲を歌うんだっていうのが衝撃でしたね。なんだこれは!っていう。こんなにヒットしたのはもっと驚きでした。 西澤:この楽曲は、背景的に、先程田家さんがおっしゃっていたみたいにSNS時代、TikTokというものが1つ追い風になっているのかなと思いますね。 田家:再生回数約31億回。 西澤:コロナ禍でダンスを一般の方も踊るみたいなものがより一般的になったことによって、みんながSNSで見て真似できる。投稿したいみたいなものがヒット曲を作る1つの要因になっているところもあるのかなと思いますね。 田家:首振りダンスっていう。彼女たちは結成が2015年で結構古いんだなって思いましたけど、コンセプトがあって模範的なやつらばかりが評価されるこの時代、くだらない不寛容社会から個性と自由ではみ出していく。こういう始まりだったんだと思いました。 西澤:僕も2018年の「BAYCAMP」というイベントのときに楽屋でちょっとご挨拶をさせてもらったときがあるんですけど。かなり個性的な4人だった印象があって、とにかく型にはまってなくて自己紹介もバラバラで強烈だったことだけはすごい覚えてます。 田家:そのときはセーラー服だった? 西澤:でしたね。「BAYCAMP」というイベントがロックのイベントなので、この子たちも正確に言うと、アイドルシーンにいたわけではない子たちではあるんです。ただ確実に言えるのはももクロが開けたシーンがあったからこそ、生まれたグループでもあると思いますね。 田家:はみ出してていいんだよ、先週のゆるめるモ!は、はみ出すっていうのが1つのテーマでしたもんね。 西澤:そうですね。ゆるめるモ!はどちらかと言うと、はみ出せない子たちがメンバーの中心にいたと思うんですけど、新しい学校のリーダーズははみ出ちゃう。 田家:はみ出しちゃった人たち。結成当時のキャッチコピー、踊るセーラー服と寄行癖。ルールから逸脱せずにはみ出せるかっていうそういう集団で、デビューはビクターで打ち切りになっているんですもんね。首振りダンスがなかったら、こうなってなかった。 西澤:そうかもしれないですね。下積みはしっかり重ねてきている子たちではあるので。どこかで何かしら火が点くきっかけはあったのかもしれないですけど、それがTikTokが1個追い風になったのかなと思いますね。 田家:TikTokとサブカルというのは先週までになかったテーマです。 マ人間 / 新しい学校のリーダーズ 田家:2023年8月発売、新しい学校のリーダーズEP『マ人間』のタイトル曲、「マ人間」。何が悪かを知りたい。すごいですねー。 西澤:楽曲調にしても歌詞にしても、戦隊モノの何かと闘っている感がありますよね。 田家:ありますよね。本当に真人間の人たちは「マ人間」というタイトルをつけたりしませんからね(笑)。さっきのBABYMETALも最初から海外展開。「オトナブルー」はアメリカのレーベル、88risingから発売されて日本では自分たちのレーベルも持っている。レコード会社がメジャーのところと組んでいるわけではないんでしょう。 西澤:もはや今はレコード会社と組まずに直接、特にヒップホップとかの世界はそうなんですけど、自分でTuneCoreとかで音源登録をして、配信できるような時代になっているので。レコード会社を通さないというのも、今の若い世代にとっては変なことではなくなってきているのかなと思いますね。 田家:そういうことを可能にしている1つの理由に事務所がアソビシステムだった。これはきゃりーぱみゅぱみゅを世界に広めた事務所なわけで、やっぱり海外展開の経験はあるんでしょうからね。 西澤:きゃりーぱみゅぱみゅが登場したときは鮮烈でしたもんね。同事務所ということもあって、ノウハウもあったでしょうし、制服を着ているのもそうですし、歌っている曲も歌謡曲チックなところも海外に刺さるんだという目算もあったのかもしれないですね。 田家:今回、先週までと違うところの1つにメンバーのきゃりーぱみゅぱみゅのバックダンサーをやっていたMIZYUさんがいるというのとか、RINさんとSUZUKAさんは3、4歳からダンススクールで、KANONさんは小学校1年からダンススクール。みんなダンス経験は豊富なんですよね。 西澤:やっぱりダンスって基礎ができているか、できていないかで、かなり差が出るものだと思うので。そこはやっぱり小さいときから基礎ができているのは、彼女たち自身も1つ自信としてあるんじゃないかなと思いますね。 田家:BABYMETALもアミューズっていう事務所があったから、そこまでできたのかもしれない。 西澤:それもあると思いますし、あとはやっぱり先程のSU-METALさんもそうですけど、持っているポテンシャルの高さというのはもちろんある。それをすごく上手く活かすことができるノウハウだったり、バックアップの体制が整っているという意味では大手事務所でやるというのが、すごくハマったのかなと。 田家:ダンスはみんな上手い。じゃあ、それをどう活かすかっていうふうに考えられた。 西澤:チーム感を持ってやっているアーティストが増えたなと思って、自分1人がすごいんだみたいな見え方はすごく少なくなって。アーティストも、これは私1人じゃなくて、みなさんの力でやっているんだという意志はすごく強くなっている気がしますね。 田家:彼女たちが今掲げているテーマ、キャッチフレーズは青春日本代表です。