サブカル文脈から読み解く日本アイドル、BABYMETALと新しい学校のリーダーズ
海外バンドとの距離が近くなってきている
メギツネ / BABYMETAL 田家:2013年6月発売、BABYMETALの2枚目のシングル「メギツネ」。 西澤:これは先程までのメタル感にもうちょっとシンセサイザーの音だとか、ダンス・チューンも入ったり。あとは象徴的なのは和楽器っぽい日本感が混ざった和洋折衷感。途中で「さくら」のフレーズもありましたし。 田家:やっぱり海外を意識して日本っぽくしているのかなと思いましたけどね。 西澤:ヴィジュアルも結構キツネの仮面を被って、そのときのアーティスト写真とかも印象的でしたね。 田家:この曲の入っているアルバムが2014年2月に出た『BABYMETAL』というアルバムで、いきなり日本のチャート1位で武道館公演を行ってすぐにヨーロッパツアーにもなっている。 西澤:すごいですね。この駆け上がり方はやっぱり。 田家:KOBAMETALっていう、この人はどういう人なんですか? 西澤:もともとアミューズの社員の方だったんですけども、メタルがものすごい好きな方で、自分が大好きなメタルとアイドルをかけ合わせたらおもしろいんじゃないかというのがきっかけなのと。あと、先程出たSU-METALさんのヴォーカル的素質がすごくハマったというか、KOBAMETALさんの中で化学反応的に合わさると思ったんだと思うんですね。 田家:中元すず香さんの歌を、ヘビメタで歌わせてみたいみたいな。 西澤:そこにアイドルのカルチャーみたいなものが交わることで、よりポップで新しいものが生まれると感じたんじゃないかなと思いますね。 田家:そういう個人発信。つまり、強烈にこういう音楽をやりたいんだという個人がいて物事が動いていったということで言うと、先週までと共通していますね。 西澤:一緒ですね。ゆるめるモ!がニューウェーブの大好きだった田家さんが始めたり、ベルハーを田中さんが始めたり、ロックが好きだった渡辺淳之介さんが始めたり。なので、始まりは本当に一緒だと思うんですよね。 田家:アイドルというのはそういうことをやりやすい土壌だった? 西澤:そうですね。本当に好きなものがあって自分でそれをやってもなかなか届かないと思うんですけど、アイドルというカルチャーをかけ合わせることによって、より伝わりやすくなり、実験もできる、チャレンジしやすいというものが確実にあったのかなと思いますね。 田家:2015年にはCDショップ大賞も受賞していて、CDショップの人からも喝采を浴びた。 西澤:当時、CDショップ大賞ができたときは音楽を現場で売っている方が支持する音楽は、本当にいいものだというのがすごく強くあったので。それが特に強かった2015年とかに選ばれたということは本当にみんなが推したい、すごくいい作品の証かなと思います。 RATATATA / BABYMETAL & Electric Callboy 田家:BABYMETALの2024年5月に発売になった曲「RATATATA」。この間出たばかりですね。BABYMETALとドイツのバンド、Electric Callboyがコラボしている。 西澤:特に最近顕著なのが海外アーティストとの共作だったり、そういうものが増えましたね。BABYMETAL以外に関してもそうなんですけど、かなり海外バンドとの距離が近くなってきているのかなと思いますね。 田家:BABYMETALの演奏はどなたがやっているんですか? 西澤:ライブに関しては所謂神バンドって言われるバンドがいて。それこそフェスなんかでは海外チームのアーティストが一緒に参加してやったり、演奏陣もすごく豪華なんですよね。めちゃめちゃ技巧派というか、テクニカル。ライブではサークルモッシュとか、ウォール・オブ・デスみたいな空間を作ってぶつかり合うとか、かなり熱量が高いリスナーの方が多くいらっしゃるので、逆に僕も勉強させていただきたいなと思っていますね。 田家:2010年以降のサブカルシーンの中での彼女たちの存在は違う意味で大きかったでしょうね。 西澤:2010年代はいろいろな種類のアイドルがいて、切磋琢磨して、その中でシーンができていったという側面があるんですけど。このグループが生まれたのはサブカルチャーの文脈の中にはあると思うんですけど、存在自体はサブカルチャーを超えている。 田家:スーパーメジャーカルチャーですもんね。後半のグループもそういう存在ということになるのかもしれません。後半は新しい学校のリーダーズ。