サブカル文脈から読み解く日本アイドル、BABYMETALと新しい学校のリーダーズ
メタルとアイドルを掛け算したBABYMETAL
ギミチョコ!! / BABYMETAL 田家:今日の1曲目、BABYMETALの2015年5月に発売になった「ギミチョコ!!」をお聴きいただいております。 西澤:BABYMETALがよりワールドワイドに大きくなっていくきっかけのタイミングの楽曲だったというのが1個ですね。これまでの3週を経て聴くと、クオリティがものすごくメジャー感がありますね。 田家:ありますよね。作曲が上田剛士さん。上田剛士さんってマッド・カプセル・マーケッツのベーシストで曲も手掛けている方でもある。 西澤:実は上田さんは前回紹介したBiSの楽曲も1曲手掛けていたりして。 田家:やっぱりそういうつながりもあるんだ。 西澤:ただ当時は、今ほどいろいろなクリエイターがここまでアイドルに関わってくる前の段階だったので、上田さんはその中でもかなりチャレンジングな人選だったと思いますね。 田家:なるほどね。配信発売されたのがイギリスだったというのがすごいですね。 西澤:この時点で海外の人たちは反応していたんだなっていうのがわかりますよね。 田家:レディー・ガガが好意的だったというのもありました。 西澤:それこそ自分のライブにも呼んでってこともあったり。外国の方に何か突き刺さるものがあったんでしょうね。当時ってアイドル×〇〇みたいな、アイドル×ロック、アイドルと別のものをかけ合わせるのが多かったんですけど、メタルとアイドルはまだ発想がなかったんだと思うんですよね。 Road Of Resistance / BABYMETAL 田家:BABYMETALの2015年2月に発売になった2枚目の配信シングル「Road of Resistance」。すごいですね、レジスタンスの道。 西澤:このタイトルも強烈ですよね。 田家:これが初めて披露されたのが2014年11月で、ロンドンの公演だった。 西澤:この時点で海外をメインにライブができるくらいの規模になっていたんだなとあらためて思いますし、当時からアイドルシーンでもかなり独立した存在、BABYMETALという存在として活動していたので、あまりアイドルのイベントだとか対バンみたいなところにはほぼ出ている印象はないグループではありましたね。 田家:そうでしょうね。これはやる相手もいないでしょう(笑)。この演奏ね。この曲を選ばれたのは、そういう意味でもある種のエポックな曲だったという。 西澤:海外で公演をしているのもありますし、歌詞がこれまでの活動とこれからについて歌ってるというのも、1つ大きいきっかけなのと。これもRolling Stone Japanのインタビューに掲載されているんですけど、過去を回想する中でメンバーもこの曲を1つあげて話していて。BABYMETALの楽曲ってライブでやることによって心で聴いて、心でぶつかり合って楽しむ音楽なんだってことがわかったという発言をしていて。メンタルがアイドルというよりはバンドというか、アーティストの考え方なんだなとすごく思いますね。 田家:BABYMETALの結成が2010年で、ももクロが2008年。わりと近い時期ではあるんですけど、全然違う流れだったということですよね。 西澤:最初はさくら学院というアイドルグループのサブグループみたいなぐらいで始まったので、まさかこんな世界的グループになるとは、最初は全く想像がつかなかったですね。 田家:アミューズか!と思いましたけどね。小学生ユニット可憐Girl’s。Perfumeの妹分的テクノポップユニットで、そこにいたのが中元すず香さんという。 西澤:SU-METALですね。 田家:3歳のときからモデルをやっていて、彼女がさくら学院にいたという。 西澤:それこそタワーレコード社長の嶺脇さんがさくら学院のファンというのもあって。それもあって、僕は最初知ったんですね。嶺脇さんにBiSのイベントに出ていただいたときがあって。 田家:さくら学院というのは女子小中学生のグループで、学校生活とクラブ活動をテーマにしていて、その中に重音部というのがあって、そのメンバーで作ったのがBABYMETAL。 西澤:所謂部活動の1個のスタンスだったものが独立してここまで大きくなった。 田家:アニメを見ているみたいですね(笑)。 西澤:BABYMETALのWikipediaとかを見ていただくと、第何章ってあって、かなり複雑ではあると思うんですよね。Rolling Stone JapanでNEWSとかを書かせていただくこともあるんですけど、重層な物語がつながっているんだなと思いますね。 田家:そこに曲を書いている上田剛士さんはBiSにも書いてきたという、近いところもありながら彼女たちは史上最年少でサマソニに出演をして、2013年には目標が世界征服だと公言していました。