トヨタ、ウーブン・シティ 25年秋開業…「私たちの未来の当たり前を創るチャンス」(豊田会長)
【米ラスベガス=川口拓洋】トヨタ自動車は2025年秋にも、自動運転など先進技術を磨くための実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」を静岡県裾野市で開業する。自動車がヒトやモノ、情報、エネルギーなどとつながり、都市機能の一部を担うことを見据え、同都市での実証を通じて革新的な知見や技術を獲得する。競争力のあるソフトウエアやシステムの開発につなげて自動車をモビリティーへと進化させる考えだ。 【写真】25年秋に開業する実証都市「ウーブン・シティ」 米ラスベガスで7日(日本時間8日)から開催される世界最大のテクノロジー見本市「CES2025」。これに先立ち、トヨタの豊田章男会長が6日、20年以来5年ぶりに登壇した。狙いは世界の経済人らにウーブン・シティの意義を訴え、共創のための仲間をつくることにある。 「ウーブン・シティはあらゆる新しいプロジェクトやアイデアを発明・開発できる場所。未来の暮らしを考え、向上させる仲間を世界中から歓迎する」―。豊田会長はこう説明し、実証都市の開業時期を宣言した。すでに第一区画の敷地約5万平方メートルにマンションなどの建物を完成させてインフラ整備を進めており、今秋にも本格的な実証が始動する。また第二区画の造成工事にも着手しており、将来は敷地を約70万8000平方メートルに拡大する計画だ。 実証都市ではトヨタやトヨタグループだけでなく、企業や研究機関などとまちづくりを進める。すでに公表済みのENEOS(エネオス)やNTT、リンナイに加え、新たにダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン(神戸市中央区)、増進会ホールディングス(HD、静岡県三島市)の5社が参画を表明した。 トヨタとこれらの企業は社会課題の解決に向け、都市インフラを実証フィールドとして活用。住民からフィードバックを受けながら、より良い製品・サービスを開発する。25年秋にはトヨタ関係者とその家族100人程度が入居し、第一区画全体では約360人が居住する見込み。将来は第二区画を含めて2000人程度が居住する予定で、26年以降には一般にも広く募集をかける。 豊田会長は「ウーブン・シティの住人には、開発した新しいプロダクトやサービスを体験し、未来を共に紡いでいく大切な役割を担う。私たちの未来の当たり前を創るチャンス」と協力を呼びかけた。