夫が会社員から自営業に変わり、専業主婦ですが「月1万7000円」の年金保険料を払っています。将来の“年金額”はどれだけ増えますか?
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入する義務があります。専業主婦(夫)も例外ではありませんが、配偶者が会社員から自営業者に変わると、年金保険料の負担が発生します。 その場合、今までよりも毎月の支出が増えた分、将来の年金も増えるはずだと考える人もいるでしょう。実際の受給額がどうなるのかを解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
国民年金の被保険者は3種類
日本の公的年金は2階建ての構成です。1階部分は20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金、2階部分は会社員や公務員が加入する厚生年金です。国民年金の被保険者には次の3種類があります。 ●第1号被保険者:自営業者や学生などが加入 ●第2号被保険者:会社員や公務員が加入 ●第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者(年収130万円未満)が加入
第3号被保険者は国民年金の保険料を負担していない
夫が会社員である専業主婦の妻は、国民年金の第3号被保険者として国民年金に加入しています。国民年金の保険料は、2024年度は月額で約1万7000円ですが、第3号被保険者は自身で国民年金の保険料を負担していません(第2号被保険者の加入制度が負担)。 ただし、第3号被保険者は自身で国民年金保険料を納付していませんが、将来は国民年金に当たる老齢基礎年金を受給できます。
夫が会社員でなくなると第3号被保険者ではなくなる
第3号被保険者になれるのは、第2号被保険者である会社員や公務員の配偶者だけです。夫が会社員から自営業者に変わった場合、夫は第2号被保険者から第1号被保険者に変わります。 夫が第1号被保険者となるため、妻は第3号被保険者のままではいられません。そして、妻自身も夫と同様に第1号被保険者となります。第1号被保険者は国民年金の保険料を自ら負担しますので、今までは発生しなかった国民年金保険料の月額約1万7000円の負担が生じます。
第1号と第3号被保険者では将来もらえる年金額は同額
夫が会社員から自営業者に変わり、専業主婦である妻が自らの国民年金の保険料を負担しても、国民年金の加入者という点では第1号被保険者も第3号被保険者でも同じです。そして、老齢基礎年金の受給資格期間が同じであれば、第1号被保険者と第3号被保険者が将来受け取れる老齢基礎年金の金額は同額です。 つまり、今回のケースにおいて、妻は毎月の負担は増えたものの、将来の年金額は変わらないということです。