大阪府庁食堂の「福島応援」メニュー 知事投稿の9日後に実現した理由
大阪府庁の食堂で、8月31日から福島県産魚介類を使ったメニューの提供が始まりました。同月24日より東京電力が福島第一原発に貯まる処理水の海洋放出を開始したのを受けて、風評被害を防いで福島県を応援するとの狙いがあります。府によると、契機となった吉村洋文知事のSNS投稿から9日後に提供開始にこぎつけたそうです。その舞台裏ではなにがあったのか、関係者に聞きました。
福島県産の魚を使った福島応援定食
筆者は先日、大阪市中央区にある府庁本館地下一階の食堂を訪れました。 お目当ては、福島県産の魚介類を使った「福島応援定食」です。価格は900円。福島県産のイワシを使ったフライは肉厚でホクホク、同じく福島県産メヒカリの揚げものは、小さいながらしっかりとした旨味があり、両方とも美味でした。
「食堂の食材を福島県産の魚介類にすれば」
府の総務部庁舎室庁舎管理課によると、本館の食堂と同市住之江区の咲洲庁舎の食堂で福島県産魚介類メニューを提供するきっかけとなったのは、8月22日の吉村知事によるX(旧ツイッター)への投稿です。 この中で、吉村知事は「原発処理水の海洋放出。科学的には安全。社会の安心の問題。知事は何ができるのか」と問題を提起し、「全国都道府県庁舎の食堂の食材を福島県産の魚介類にすればいい」と主張しました。 翌日午前、府の秘書課から知事のSNS投稿について伝えられた庁舎管理課は、府庁舎内のスペースを借りて食堂を運営する事業者の創・想・贈(そう・そう・そう)側に、福島県産魚介類を使ったメニューの提供を打診。すると「ぜひやらせてもらいたい」という旨の回答があったそうです。 庁舎管理課の担当者は「これが早く実現できた要因」と事業者側の積極姿勢を称えます。
福島県にどれくらい協力できるか
この時のやり取りについて、創・想・贈のスタッフに話を聞くと、「(打診された時は)すぐに『良いっすよ』と応じました。知事が言った以上、引き受けなければ不細工なことになるし、心の奥底では(福島県に)どれくらい協力できるだろうか、という思いもありました」と振り返りました。 スタッフによると、創・想・贈では、日々の仕入れの中身に応じて定食や弁当などに入れる惣菜を決めているとのこと。新たに福島県産魚介類を使用することになっても、柔軟に対応できる体制でした。