大阪府庁食堂の「福島応援」メニュー 知事投稿の9日後に実現した理由
福島県の業者と直接取り引きすることに
ただ、福島県産魚介類の水揚量は東日本大震災前の水準まで回復しておらず、仕入れにくいという現状もあるようです。 創・想・贈から仕入れ先について相談を受けた庁舎管理課は、福島県の大阪事務所に相談したところ、同県漁業協同組合連合会を紹介され、創・想・贈と福島県の業者が直接取り引きすることとなりました。 8月25日午前、吉村知事や秘書長、庁舎管理課の担当者を交えた協議の中で、同月30日に記者発表、同月31日に提供開始という案が浮上します。
開始寸前に急きょ「放出後」魚介類を入手
同月30日午後、吉村知事は定例記者会見で、府庁食堂での福島県産魚介類メニューの提供を開始する旨を発表しました。その際に「処理水が海洋放出されて以降、水揚げされたものを仕入れて提供いたします」と発言。 しかし、実際にはその日の時点で放出前に水揚げされた冷凍の魚介類しか食堂に届いていませんでした。 このため、急きょ創・想・贈の関係者が福島県で放出後に水揚げされた魚介類を入手し、同月31日午前9時30分に食堂へ届けた、という一幕もあったそうです。ともあれ同日昼、福島県産魚介類を使ったメニューの提供が無事にはじまりました。
福島応援定食を目当てに来店する一般客が増えた
庁舎管理課の担当者によると、「食堂事業者からは、(府職員の来店が少ない)午前11時台に『福島応援定食』を目当てに来店する一般客が増えた、という話を聞いています」とのことです。 もっとも、創・想・贈のスタッフによると、福島県産魚介類メニュー提供に伴い福島から大阪への輸送費負担が新たに発生。魚介類の価格自体も含めてコストが上がっている可能性もあるそうです。コスト増を見越して価格を設定していますが、収支面の影響について今後確認する予定だそうです。
スタッフは「処理水の放出は短期間では終わらない。僕らは(福島県産魚介類を)提供し続けるので、吉村知事も今までと同じく週に1回でいいので、食堂へ食べに来てもらえれば」と話していました。 (取材・文:具志堅浩二)