千葉Jが新HCについて現状を報告、渦中のハーバート氏は「うつ症状、アルコール中毒」について著書で言及【バスケ】
契約書面サインからまさかの展開に
7月10日、千葉ジェッツは「新シーズンのHC に関する契約状況について」のリリースを発表。その中で5月に契約合意に達し、サインもしたはずのゴードン・ハーバート氏から先日、契約破棄の申し出があったこと、引き続きコンタクトを試みているという状況を説明。日本のみならず、海外の報道機関もこのニュースを報じるに至った。 カナダで1959年に生まれたフィンランド人、ハーバート氏はノースアイダホ・カレッジ、アイダホ大でプレーした後、選手として主にフィンランドのリーグで活躍。1994年に現役を退くと、そのままフィンランドでコーチの道へ。フランスやドイツ、オーストリアなどでもコーチを歴任し、数々優勝も経験。NBAでもラプターズ(2018-19)でアシスタントコーチを務めたこともある。2021年からはドイツ代表ヘッドコーチとなり、日本も会場の一つになったFIBAワールドカップ2023では初優勝に導いた。 パリ五輪でもドイツ代表を指揮予定だが、5月にはドイツ連盟から同氏が今大会を最後に退任することが発表されている。その際、ドイツ連盟からは「彼が別の仕事に就きたいと考えていると理解した。それを妨害するつもりはない。彼は今オリンピックに向けて、情熱を注いでいる。新たな感嘆符を付けて終わりとなれば最高だ」と声明を発表している。“別の仕事”とはもちろん、その5月に合意に達し、契約書面にサインをしたという千葉Jのヘッドコーチということだろう。 ハーバート氏は今年6月、『Die Jungs gaben mir mein Leben zurück: Die Erfolgsgeschichte des deutschen Basketballs (少年たちは私の人生を取り戻してくれた:ドイツ・バスケットボールのサクセスストーリー)』という著書を出している。リトアニアのニュースサイト『BASKETNEWS』は、ハーバート氏がこの著書の中で何年もうつ症状やアルコール中毒に苦しんでいたと告白したとし、「もう二度と経験したくないような段階だった。6年間も苦しんだ。どうしてこんなことになったのか、自分でもわからなかった。最悪の瞬間はチェコでのトレーニングキャンプだった。落ち込み、何も理解できなくなった。コミュニケーションが取れなくなった。その後、精神病院に2週間入院したんだ」と書いていると紹介している。“うつ症状やアルコール中毒”、精神的なものが今回の問題につながった可能性はありそうだ。 千葉Jは、リリースの中で本人から「詳細な理由の説明をいただけていないため、改めて会話を試みておりますが、ハーバート氏との直接的なコミュニケーションには今現在も至っておりません」と状況を紹介。さらに「今後もHC が発表できない状態が続き皆さまにご心配をかけることも懸念されるため、一度現状のご報告をさせていただくことといたしました。クラブとしては、突然このような一方的な契約破棄の申し出をされたことは誠に遺憾であり、事実確認及び状況整理をした上でしっかりと話し合いを進めていくとともに、選手・スタッフ、そして応援してくださる皆さまの不安を一刻も早く払しょくできるように全力で努めてまいります。新HC に関しては、進捗があり次第公式リリースを出させていただきますので、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします」と進捗があり次第、改めて伝えるとしている。 そのハーバート氏はドイツ代表を率いて、7月6日、8日にフランス代表と対戦(初戦が66-90、2戦目が70-65)。2戦目のあとには「スタートがスローだったが、セカンドユニットの活躍で流れができて、スターターも戻っていい活躍を見せてくれた。チームとしていいパフォーマンスを見せてくれたと思う。精神的にもフィジカル的にも2日前よりよくなっている。今日の勝利はチームの士気と雰囲気にとってプラスだ」とコメントしている。ドイツ代表はこのあと7月19日に、ドイツ・ベルリンで男子日本代表と試合を行う予定。さらに7月22日にはイギリス・ロンドンでアメリカ代表と練習試合を行い、パリ五輪に挑むスケジュールになっている。五輪期間は、ハーバート氏もドイツ代表に専念するはず。動きがあるとしたら、五輪後となるかもしれない。