開催中止 磐城の「夏」に期待 関係者「実力は十分ある」 /福島
<センバツ高校野球> 第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は11日の臨時運営委員会で中止と判断された。21世紀枠で出場予定だった磐城高校(いわき市)では、関係者が落胆する一方、「実力は十分ある」などと今後に期待する声も上がった。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◇「次」への啓示 阿部校長 同校で取材に応じた阿部武彦校長(60)は「中止になっても、さまざまな逆境を乗り越えて自分たちの手で甲子園出場を手にしたという事実は変わらない。栄誉を手にしたことに胸を張り、次なる戦いに向けて進みなさいという啓示だと思う」と結果を受け止めた。 関係者からもさまざまな声が聞こえた。学校近くで食堂を営み、選手たちが練習中に食べるご飯を炊き続けてきた佐々木建一さん(66)は、ひどく落ち込んだ様子だった。「東日本大震災が起きた時と同じくらいショックだ。毎日暗いニュースばかりで、磐城の甲子園出場が唯一の希望だった。仕方ないことなのかもしれないが、子どもたちがかわいそう」と話した。一方で「夏がまだある。今回は21世紀枠での選出だが、実力も十分あるので、ぜひ夏の甲子園を目指してほしい」とエールを送った。 ◇一つのハードル乗り越え成長を 46年前のセンバツ出場時の監督、御代田公男さん(82)は、週末に当時の教え子たちと甲子園に向けて決起会を行う予定だったという。「こういう結果になってしまい、ただただ残念という気持ち。残念会を開くしかないのかな。子どもたちには、これを一つのハードルだと思って乗り越え、成長してほしいです」と今後の活躍に期待を寄せた。 保護者会の市毛芳幸会長は「開催されるとずっと信じていた。子どもたちの気持ちを考えたらつらい。磐高野球部は成熟したチームだと思うので、潔く切り替えて、次の目標に向かってほしい」と話した。【磯貝映奈】