つくば市育ちの駐日ジョージア大使だから知る「恥ずかしがり屋」茨城県の魅力とは?自然・交通・科学…あらゆる面が実はスゴイ!
◆つくばエクスプレス開業で時代が変わったものの… 実は茨城県は東京から1時間もかからず行け、関東近県からの通勤や観光にも不自由がありません。 でもちょっとしたトリックがあります。 さて、茨城から東京に行くにはどの県を通らないと行けないでしょうか? これは私が中学校の時に社会のテストで出た問題ですが、答えは埼玉県と千葉県です。 「え、ふたつも越えないといけないの?」と思うかもしれません。埼玉と千葉を通過する区間はほんのわずかなのですが、しかし茨城と東京は間に2つの県を挟んでおり、心理的にたいへん遠く感じてしまいます。特に私がつくば市に住んでいたころには、東京に出る機会は月に1回あるかないかでした。 それがつくばエクスプレスが2005年に開業した後ではずいぶん変わっています。画期的なことに、つくばから秋葉原まで45分で行けるようになったのです。 それまでは常磐(じょうばん)線の牛久(うしく)か土浦(つちうら)に行くか、つくばセンターからバスに乗る必要があり、時間ももっとかかりましたし、何より心理的に遠い気がしました。 しかし、つくばエクスプレス開業で時代が変わりました。茨城から見たらもはや東京は遠くないのです。 でも東京から見ると、茨城に通勤される方以外は意外とそれに気づいていないのです。これが東京を中心とするメディアで、茨城があまり扱われない理由だと思います。 こんなことを茨城の方にお話ししたら「この人は本物の茨城人だ」とお褒めいただきました。
◆科学研究の中心・つくば市 そんな茨城県のなかでも、また日本にとっても、つくば市は重要な場所です。 資源がない日本は、科学とテクノロジーを使った商品開発やもの作りによって繁栄を築いてきましたが、その研究の中心のひとつがつくばであり、さまざまな研究機関、施設が密集している場所なのです。 産業的な意味でも大事な場所ですし、すぐにお金になるわけではないけれども人類の知の営みとしてきわめて重要な基礎科学の研究においてもそうです。 たとえばKEK(高エネルギー加速器研究機構)では、最先端の物理学を駆使した素粒子(そりゅうし)の研究・実験を行っています。 ジョージアの関係者が視察する機会があり、私もご一緒したことがありますが、ここには、実在するのかわからない素粒子を見つけるためだけに設計された超巨大な加速器があり、茨城から岐阜にある実験施設に向けて粒子を放つという壮大なスケールの実験をしているのです。 世界的に見ても、これほどの規模の施設はほかにはスイスやアメリカくらいにしかないそうです。
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