緊急事態宣言から2週間、専門家会議が会見(全文4)人流の8割減はできていない
オフィスじゃない仕事もあるのでは?
朝日新聞:仕事によってはオフィスじゃない仕事もあるんじゃないかなっていう話です。 尾身:今のお話、確かにテレワークみたいな新たな仕事の、働き方のスタイルっていうのがすべての企業でできるわけじゃないですよね。それは大規模な企業と小さな企業だったら大規模のほうができやすいし、あとは製造業なんていうのはなかなか難しいですよね。そういうことをたぶんおっしゃってると思うんだけども、それは、われわれはリアリティーというか、現実をやっぱりある程度、認める必要がありますよね、理想論だけでは。そういう意味では、私どもの願いは、大きな企業でそういうことが可能な企業もいっぱいあるわけですよね。そこにはリソースも多い。そういうところはだからわれわれが求めている、最初、4割から6割~7割というのをちょっと多めにやってもらって、そちらの分だけちょっとやってもらうということで、全体としての企業のテレワークが7割とか、そういうことだと思います。 朝日新聞:ありがとうございます。もう1点で、行動制限ですと8割というのが専門家会議の方の主張しているところで、一方、政府としては7割というところも出ていて、この7と8の差ですね。この差についてどういうふうに評価されていますでしょうか。 西浦:それでは4枚目を出してください。科学的に8割と7割の違いがどこにあるかというと、感染者数の減り方に関わってくる部分だと考えています。8割ないと短期間で終わらせにくいということなんですね。実効再生産数といって、1人当たりが生み出す2次感染者数の平均値が1を下回っていると、明らかに流行というのは減少に転じるんです。減少に転じるんですけども、1よりだいぶ少ない実効再生産数というのと、1に近いけど1を割っている実効再生産数とでは、感染者数の減る速度が違います。 8割というのをだいたい達成できていると、単純なシミュレーションだと、ここで言うと新規感染者数が青の線で100人を割るところが緊急事態宣言後15日間で達成されて、それがオレンジのところで、確定患者数として報告されるものが、だいたい緊急事態宣言後で1カ月で達成できると。だいたい100人の新規感染者数で見てるものは、観察される患者数で言うとおおむね4分の1から10分の1と考えると、だいたい10名~20名程度のレベルなので、改善されたクラスター対策というのを考えることができるレベルだと考えます。そういうふうな設計ができるんですけど、それが、少し達成度というのが下がってしまうと時間が掛かってしまうというのが問題です。 今、1カ月でも皆さんこうやって生活をされていると、相当に痛みを伴うものだという実感も皆さん持たれていると思うんですけども、それが1カ月間だけでいいのか、あるいは、それとももう少し長くしないといけないのかというのを大きく分ける分水嶺だと考えていますので、その点に関してはできるだけ早く劇的に接触を削減するということが必要ということが背景議論です。