関西は競争緩い?関東最強オーケーストアが「関西進出」で無双する可能性大の理由
強すぎる新参組…関西の消費者はどこを選ぶ?
こうした環境にある関西には、関東ディスカウントスーパー大手のみならず、中京地区の瀬有力スーパー、バローや滋賀県周辺で高いシェアを持つ平和堂などが、いま積極的に店舗を増やしている。 特に注目は、デスティネーションストア(略称DS:近いからではなく、あの店に買い物に行きたい、を目指した生鮮強化型大型スーパー)を擁するバローである。 この店は効率性を追求してきたチェーンストア理論の具現者バローと、八百屋、魚屋、肉屋からなる市場を再現したような生鮮スーパー、タチヤ(バローがM&Aしてグループ入り)を融合して出来た。両方のいいとこどりで、安くて鮮度が良い市場的な楽しさをウリに、そして大型店の品揃えを兼ね備えた、魅力的な業態である。 バローは、こうした融合の成功から、八百鮮(大阪市)など関西の勢いある生鮮スーパーをグループ化して、そのノウハウをさらに活用しようとしている(傘下には入れるが、同質化を求めず、ノウハウを持ち寄り、共存した店を作ろうとするところが素晴らしい)。 この発想は、安さと鮮度の両方にうるさい関西人にも受け入れられる可能性が高いのではないか。いずれにしても、関西への進出組は、どこも只者ではなさそうなのである。 東大阪ツアーをしていた時、生駒の山の麓にある、河内国一の宮枚岡神社を通りかかったので誘われるように参拝して来た。この神社は、あの中臣氏(藤原氏の祖、河内国が本拠地なのだという)の祖神が主祭神なのだそうで、神武天皇即位前3年にできたと伝わる、ものすごい古社であったらしい。 近くには石切劔箭(いしきりつるぎや)神社という物部氏の祖神の神社もあったりして、東大阪という素っ気ない名前になっているこの地が、古くから人の住む場所であったことを再認識した。そんな生駒の山麓にある古社のすぐ下には、フード&ドラッグ(食品強化型ドラッグストア)の成長株、北陸のクスリのアオキ(箱殿薬局)の店ができていた。のぞいてみると、小型のスーパーと見まごう食品売場に、平日の昼間でも多くの来店客の姿があり、地元にすっかり受け入れられているようだった。 そう言えば、九州出身のフード&ドラッグ大手コスモス薬品も、関西で200店舗以上、売上で1,360億円ほどに急成長したらしい。関西の食品流通市場は、スーパーのみならず、異業種を交えた争奪戦の舞台となりつつある。数年後には、コスパに厳しいと定評ある関西消費者の冷徹な審判結果が明らかになるのだろう。
執筆:nakaja lab 代表取締役 流通アナリスト/中小企業診断士 中井彰人