日米の世論調査はいったいどこまで正しいのか? 「10.27衆院選」「11.5アメリカ大統領選」のリアルな読み方
例えば、昨今の電車の中の風景を思い出してみてほしい。隣り合った者同士が挨拶をするとか、なにげない会話を交わすといった風習はすでに失われて久しい。皆が無言でケータイの画面を睨んでいて、その向こう側にいるのは得てしてLINEやFacebookなどでつながっている「友人、知人たち」である。 知っている人とは会話するけど、誰だか知らない人とはお話ししたくないのだ。最近、オフィスでよく問題になる「若い社員が電話を取ろうとしない」現象も、「誰だかわからない人と会話する」習慣がないからだと考えればわかりやすい。
そんな時代に「××新聞ですけど、ちょっとよろしいですか?」と話しかけても、ろくな結果が得られないのも無理はない。社会のコミュニケーションスタイルが大きく変貌を遂げる中で、世論調査のやり方も根本的な見直しを迫られているのではないだろうか。 ところで現在、筆者の手元には、ある有力政党によると思しき某都道府県の世論調査データのコピーがある。 ページの右上に「A」とか「C+」などとランク付けがされていて、今どき「マル秘」スタンプが押してあるところがいかにもそれらしい。選挙区ごとに全候補者の名前と、支持率の数字が細かく書き込まれている。旧態依然のオートコール方式で集計されたと見えて、「この数字はちょっと怪しい」みたいなツッコミどころには事欠かない。
■巷間言われているほど自民党は負けない? ただしこのデータ、「前々回」「前回」「今回」と3回に分けて行われている。これらの数字を比べると、選挙戦の序盤、中盤、終盤の流れが見えてくる。「自民党はベテラン議員の調子はいまひとつだが、新人候補(特に女性)の支持は後半になるにつれて拡大している」とか、「某大物『裏金』議員は逃げ切り圏内。なんとなれば野党挑戦者の支持率が徐々に低下している」といった具合である。
こんな風にトレンドが見えてくれば、「最後はどの候補者に力を入れるべきか」がわかりやすくなる。要するに古いやり方の世論調査でも、選挙戦の役には立つのである。 ということで、10月27日にどんな結果が出るのか、ふたを開けてみなければわからないけれども、巷間言われているほど自民党は負けないんじゃないか、と筆者は考えている。 さて、世論調査と言えばアメリカの情勢についても触れねばならない。10月下旬になって、いつものRCP(リアル・クリア・ポリティクス)のデータに異変が生じている。