東芝再建、問われる底力 上場廃止1年、成長戦略カギ
経営再建中の東芝は20日、上場廃止から1年を迎えた。 「物言う株主」との対立が長引く中、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)傘下で非上場化を選択。混乱は収束し、構造改革の成果も見えつつある。目下の最大の課題は成長戦略だ。かつての名門企業は再び輝きを取り戻せるか、底力が問われている。 東芝は2015年に発覚した不正会計問題や米原発子会社の巨額赤字で経営危機に陥った。財務基盤を厚くするため、外資系ファンドから出資を受け入れたが、経営方針を巡る対立が長期化。昨年12月20日に株式を非公開化し、ようやく迷走に終止符を打った。 今年5月には「東芝再興計画」を発表し、1%強だった営業利益率を26年度に10%まで引き上げる方針を掲げた。本社機能を東京・浜松町から川崎市に移転、集約することを決め、従業員約3500人の人員整理も実施した。 一連の構造改革が奏功し、足元の業績は上向いている。24年9月中間連結決算は、純利益が1163億円と2期ぶりに黒字を確保。エレベーター事業が改善し、本業のもうけを示す営業利益も前年同期比3.2倍の705億円となった。JIP副会長も兼務する池谷光司副社長は「非常に手応えが出てきた」と胸を張る。 ただ、かつて手掛けていた家電や半導体メモリーなど多くの事業を切り売りした結果、売上高や従業員数は今やピーク時の半分以下だ。関係者は「柱になる事業がなくなった」と漏らす。非上場化に伴い借り入れた融資を返済する必要もある。東芝は来春にエネルギーや防衛関連事業を軸とした新たな成長戦略を打ち出す方針だが、実効性のある青写真を示せるかがカギを握る。