いま知っておきたい「燃料デブリ」のアレコレ 原発事故から13年8カ月で取り出しに成功 2024年は廃炉に向け大きなステップ
東京電力・福島第一原発2号機では、2024年11月7日に事故で溶け落ちた核燃料=燃料デブリを格納容器の外に取り出す「試験的取り出し」が完了。11月12日には事故後初めてデブリが福島第一原発構外へ輸送された。 事故から長い時間が経って取り出された「カケラ」とは何か?何が分かるのか?そしてこれからの廃炉は…? 【画像】原子炉格納容器内のイメージ
そもそも燃料デブリってなに?
東京電力の「燃料デブリポータルサイト」によると、 ◆事故当時、1~3号機は稼働中だったため、炉心に燃料が格納されていた。 ◆事故発生後、非常用電源が失われたことで炉心を冷やすことができなくなり、この燃料が過熱し、燃料棒や炉内構造物とともに溶融した。 ◆その溶融物が冷えて固まったものを燃料デブリと言う。 と説明されている。 つまり、溶け落ちた核燃料が、原子炉の中にある金属やコンクリートなどを巻き込んで冷え固まったものが「燃料デブリ」。東京電力は福島第一原発の1~3号機には合計で880トンの燃料デブリがあると推計している。 道路脇の側溝のフタのようなグレーチングにこびりついているものもあれば、原子炉本体「圧力容器」から溶け落ちた状態で固まり”つらら”のようにぶら下がっているもの、格納容器底部に固まっているものなどがあると推定されるが、放射線量が高く、直接人の目で確認することができない。また、ドローンやロボットで行っている格納容器の内部調査でも、高い放射線が機器に不具合を起こすとして長時間の調査はできず、デブリの正確な位置や形状の全容は把握しきれていない。 燃料デブリは福島第一原発で今も高い放射線量を発し続けている、いわば「放射線の発信源」。強い放射線が放出される限り、近隣住民の帰還環境も整わないため、デブリへの対処が廃炉の「最難関」であり「本丸」となっている。
いま何が分かっているの?
「試験的取り出し」に成功した燃料デブリの重さは0.7グラム、放射線量はデブリから20センチの距離で1時間あたり0.2ミリシーベルト。放射線医学研究所などが公表しているデータによると「日本において自然界から受ける放射線量は1人あたり平均で年間2.1ミリシーベルト」なので、年間に自然から受ける放射線量の約10分の1を1時間に受ける計算になる。 取り出したデブリからはウランが核分裂してできる「ユウロピウム」という物質が検出されている。原子力規制庁は「核分裂片としてのユウロピウムというのはなかなか外に出てこなくて検出ができてこなかったもの」「燃料デブリの明らかな一部と考える」とし、東京電力に詳細な分析を求めている。