インターンで3ヶ月もタダ働き!これって違法なの?(桐生由紀 社会保険労務士)
■インターンを採用する場合の注意点
このように一口にインターンと言っても「実際どのような事をするのか」によって、その取扱いが大きく変わってきます。 では、企業がインターンシップを実施する場合、どのような事を注意して進める必要があるのでしょうか。 (1)インターンシップの目的を整理する 労働力として学生に業務をしてもらう事が目的なのか、職業体験を通して企業を知ってもらうための採用目的なのか、どちらにあたるのかを整理しましょう。 労働力として業務をしてもらう場合は、インターン生であっても労働者として扱う必要があります。職業体験として企業を知ってもらうためなら労働者にはなりません。学生が「労働者」として扱われるか否かによってその後の取り扱いが大きく違いますので、まずは目的をしっかり整理しましょう。 (2)契約書を締結する 労働者として認められる場合、企業は学生に労働条件を通知する義務があります。労働条件通知書(雇用契約書)を作成し交付しましょう。「インターンだから、アルバイトだから」契約書は不要という誤解をよく耳にしますが、労働条件の通知は学生であっても必要です。 また、職業体験が目的のインターンの場合でもインターン中の情報漏洩や不正利用等を防止するために誓約書を取り交わしておくことをおすすめします。 (3)ハラスメント防止対策を実施する 厚生労働省が発表した令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査によると、3割以上の学生がインターンシップ中にハラスメント被害にあったとされています。ハラスメントが発生すると、企業イメージが悪化し採用活動にも悪影響がおよびます。企業にもさまざまなデメリットがあるハラスメントはしっかり対策しておきましょう。 具体的には、ハラスメントを未然に防ぐために学生との接し方のルールを決め、研修を徹底し、実際にハラスメントが起こった場合は懲戒処分や損害賠償責任を負うことを従業員に認識してもらいます。万が一ハラスメントが発生した時のために被害をすぐに相談できる窓口を設置するのも1つの方法です。 企業はインターンを実施する際は、その内容や条件が労働に該当するか否かをしっかり確認しその内容に応じた対応と準備を行いましょう。また、法的なチェックや契約書の作成は専門家に相談することをお勧めします。