インターンで3ヶ月もタダ働き!これって違法なの?(桐生由紀 社会保険労務士)
■違法なタダ働きインターンの例
前述したとおり、無給のインターン自体は違法ではありません。 インターンの内容によっては、無給にすると違法になってしまう場合もあるのです。 では、違法なインターンはどのようなものがあるのでしょうか。具体例を見てみましょう。 【違法例①】無給で実際の業務をさせられる 企業の利益につながるような業務をさせ、労働力として扱っているのに無給だと違法になります。また、期間が長期になるほど労働力として扱われる傾向があり、実施の業務内容が通常のアルバイトと変わらないことも多いです。 例えば、従業員の指示を受けてリサーチを行なったり、コピーやファイリングなどの雑務の処理を行なったり、テレアポを行うなど、企業の利益につながるような実務を行う場合です。 こういった労働をさせたいなら通常の労働者と同様に給料を払って有給のインターンとすべきなのです。 【違法例②】給料が安すぎる 例え給料が払われていても、最低賃金以下で働かされている場合は違法になります。 例えば、東京の会社で7時間働いた時の給料が5000円だとすると、時給に換算すると714円になります。東京都の最低賃金は現在1163円なので最低賃金を下回っています。これは違法なインターンです。 また、インターンの労働時間を把握していない会社もあります。そういう場合は実際に働いた時間を把握して、受け取った給与額から1時間あたりの給料を計算してみてください。 給料が支払われていても最低賃金を下回っている場合は、違法になる可能性があるので「給料が払われているから適法」と安心せずに注意が必要です。 【違法例③】内定者の入社前の無給インターン 内定者は、卒業後、社員として働くことが予定されているため「入社前までに業務経験をしておく方が入社後スムーズに仕事ができる」などの理由で入社前に学生をインターンとして働かせる例を多く見かけます。内定者に実際の業務を行わせているのに無給だったり、最低賃金を下回っている給料しか支払わなかった場合は違法になる可能性があります。 また「内定者研修」という名目で入社前に研修を実施する例もあります。よく「内定者研修は違法なのか」という質問を受けますが、研修の参加を義務付けつつ給料を支払わなかった場合は違法になる可能性があります。 【違法例④】業務委託契約のインターン 「残業代を払いたくないから」「社会保険に入れたくないから」などといった理由で、学生インターンを業務委託契約にしている例があります。 業務委託契約が直ちに違法になるわけではありませんが、業務委託契約を結んでいても(1)会社側が業務内容や進め方の指示を行っている、(2)勤務時間や勤務場所の拘束があるなど、インターンの実態が労働者と判断されれば、未払賃金などの問題が発生します。 実際は、学生が会社からの細かい指示を受けずに仕事を行い、自分の裁量で仕事をできる例は少なく、実態は雇用契約に該当することが多いです。業務委託契約をインターンに適用するのは違法になる可能性が高いので注意が必要です。