インターンで3ヶ月もタダ働き!これって違法なの?(桐生由紀 社会保険労務士)
■インターンにも労働基準法が適用されるのか?
「インターンは通常の従業員と違うから労働基準法は適用されない」という誤解をしばしば見かけます。 通常の労働者であれば当たり前に適用している有給休暇や社会保険などを「インターンだから」という理由で適用しなくても大丈夫、もしくは適用されないと、会社側・学生側双方が誤解しているのです。 ただ、実際はインターンでも労働者であれば労働基準法は適用されます。 前述したとおり、インターンが「労働者」であるかどうかは、使用者の指揮命令下にあるかどうかで判断されます。インターンが「労働者」に該当すれば労働基準法などの法律が適用されます。 具体的には次のような法的な保護を受けることができるのです。 ・有給休暇を取得することができる 年次有給休暇は正社員のみの制度ではないので、以下の2つの条件を満たせばインターンでも有給休暇を取得することができます。 (1)継続して6か月以上勤務していること (2)所定労働日数の8割以上出勤していること 付与される日数は、所定労働日数と継続勤務年数に応じてきまります。 1つ注意しなければならないこととして、内定者インターンの場合、正社員になった際に「勤続年数をリセット」という意識になりやすいことです。内定者インターンから正社員になった場合は、勤続年数は通算されますので注意が必要です。 ・残業代を請求できる 法定労働時間(1日につき8時間、1週につき40時間)を超えて労働させた場合、他の従業員と同じく残業代を支払わなければなりません。 無給のインターンで労働してしまった場合、給与の定めがない場合もあります。そういった場合は、最低賃金が適用されます。実際に労働した時間に最低賃金をかけた分の給料や残業代を請求することができます。 ・最低賃金を守らなければならない 時間に対して支払う給料が最低賃金以上でなければなりません。日給制の場合は、実際に働いた時間で日給を割った際に最低賃金未満になってしまわないように注意が必要です。 ・社会保険、雇用保険への加入義務が発生する場合がある インターンであっても通常の労働者と変わりがありませんので、各種保険への加入が必要となります。 (1)労災保険:労働者であれば対象になります。インターン中に事故や怪我を負った場合に補償を受ける事ができます。 (2)雇用保険:週の労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがある場合加入することになります。条件を満たしても学生は加入不要ですが、夜間部の学生や内定者インターンは条件を満たした場合は加入が必要になります。 (3)社会保険:所定労働日数・所定労働時間が通常の社員の3/4以上の場合は加入が必要となります。雇用保険と違って、学生でも対象になります。 インターンは通常の労働者とは違った扱いが出来るようなイメージを持つ方が多いのですが、インターンであっても、労働させる場合には通常の労働者と同じ法律の適用を受けますので、注意が必要です。