「そんな役目があったとは」「取り外して失敗した…」ハンドルの端っこに付いている鉄の塊って何のため?
振動の低減って言われるけど、何の振動?
ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。400ccクラスから上の排気量帯のバイクで採用例が多いが、これって何のためにあるのだろうか? ツーリングで助かる「手のひらを下に向けてヒラヒラ」の意味、すぐ分かる?ライダーなら知っておきたいバイクのハンドサイン シンプルにいえば振動対策だ。特に、エンジンの振動がライダーの手に伝わるのを低減させるのが主な役割。エンジンの振動は、回転を上げるほど、また排気量が大きいほど強くなり、ハンドルバーを握るライダーの手をシビレさせたり、疲れの元になったりする。また、強すぎる振動は特にフロントの挙動を感じ取るのにも邪魔になる。これをどのように低減するのかは、バイクの開発でけっこう重要なのだ。 エンジンには1次振動(クランク1回転毎に発生する振動)と2次振動(クランクの回転の2倍の周波数で発生する振動)、カップリング振動(クランクの非対称性が基になって発生する振動)などがあり、例えば単気筒では1次振動が強く、並列4気筒だと高回転時に高周波の2次振動が顕著に出る。 これを低減するには、エンジン自体にバランサーを仕込むとか、振動が車体に伝わりにくいようにエンジンマウントを工夫するといった方法がある。そして本記事のハンドルバーウエイトのように、振動が出る部分の末端に錘を仕込んで共振する周波数を変え、一種のマスダンパーのように使うことで振動を吸収・低減する手法があるわけだ。 ここで注意したいのは、ハンドルバーやバーエンドを交換するカスタムだ。ハンドルバーの材質や重量にもよるが、何も考えずにウエイトを外すと振動が増えることもあり、またウエイトの重量を変えると共振ポイントが変わったりして、思わぬ振動を感じることになるかもしれない。 カスタムにあたっては、自分の用途や普段走る道で振動が出ないか、許容できる程度かなどを確認しながら進めるといいだろう。また、たとえ振動は増えても軽量化したいとか、ポジションを操縦しやすくしたいとか、転倒時のプロテクションのためにウエイトよりも樹脂などの素材のバーエンドを使用したいといった場合もあるだろうから、そこは好みに合わせて自己責任で。 ちなみに、ステップバーの下にウエイトが装着してある機種もあるが、こちらも同じく振動軽減のためのバランサーウエイトだ。