「そんな役目があったとは」「取り外して失敗した…」ハンドルの端っこに付いている鉄の塊って何のため?
じつは影響があるもうひとつの振動
もうひとつ、ハンドルバーウエイトがあると低減できる振動がある。それはシミーだ。走行中にフロントタイヤが左右に小刻みに切れる振動で、80km/h以下で出ることが多い。また、100km/h以上で出る高速シミー、もっと周波数の低いウォブル(こちらは前後とも振られる)もある。 シミーやウォブルが酷くなると、左右の振れがどんどん増幅し、最悪は転倒に結び付くことも。原因はさまざまだが、最新のバイクであればタイヤの空気圧低下や偏摩耗、ホイールバランスの狂いなど、整備不良によるものが多いとされる。 これが平成中期くらいまでのバイクになると、車両自体のジオメトリーや剛性バランス、タイヤの構造などが現代ほど洗練されておらず、ちょっとしたタイヤの摩耗程度でも誘発されやすい場合がある。これを解消するには、低コストな順に、1)着座位置を変えてみる、2)サスペンションセッティングを調整してみる、3)タイヤを最新スペックのものに交換してみる、4)ステアリングダンパーを装備する、といった方法がある。 ちなみにウォブルがタイヤの構造に起因する場合、リヤに原因があることも。その場合はリヤのセンター付近でバンク角に対する旋回力の立ち上がりが早く、わずかな傾きでフロントを左または右に振る力が発生してしまうから、ということらしい。 さて、すでに読者諸兄もお気づきのように、このステアリング振動の対策として、ハンドルバーウエイトが一定の仕事をしてくれる。ハンドルが左右に振れる現象も振動であり、速度域によって共振すると増幅してしまう。これの対策として、ステアリング軸から遠いハンドルバーエンドに錘を付けることで、振動が発生しにくく、また増幅を抑制する効果を得られるのである。 ここで再びカスタムの話をすると、ハンドルバーを交換してステアリング方向の振動が増えたケースでは、ライディングポジションの変更に起因する場合だけでなく、ウエイトの影響による場合もあると知っておくと、対策する際に役立つかもしれない。意外なところでは、アルミ製のナックルガードを装備して重量が増えると、特定の速度域で振幅が増えることもあるので、「もしかして」と思ったら付けたり外したりして挙動を確認してみるといいだろう。 ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。