「『交付金を倍増する』と言われているけれど…」 ”日本一老いる村”の村長が訴える地方創生の現実
もともと出生の単位が少なすぎるから、われわれがやっていることは「化ける」可能性がある。外から移住する人はほとんど単身だったが、村で結婚して子育てするのが夢だという女性が2人いて、ともに外で男性を見つけて結婚し、村で子どもができている。微々たる数だけど、少し明かりが見えてきた。 あとはどうやって生活し、食っていくかだ。村で新しい住宅を作って、賃貸料が月2万4000円。村の支援も含めて安く生活できて、生活で困らないというのは大きい。(移住は)仕事とセットじゃないといけない。
――消滅可能性自治体や地方創生の話が出てきたのは2014年、ちょうど長谷川さんが村長になった頃でした。 (2014年の)5月1日に着任したが、ゴールデンウィーク明けに、「消滅可能性自治体」の話が出てきた。全国町村長大会の勉強会場に行ったら、「おお来たぞ、来たぞ」とみんながこっちを指差している。当時の新聞に、南牧村が「消滅可能性都市1番」と出ていた。 予想とそんなに狂っていないから、びっくりはしなかった。ただ、「どうせ消滅しちゃうんだ」と、これから努力しようというときに諦めムードに拍車をかけてしまうようで残念だった。
――これまでの国の「地方創生」政策を振り返っていかがでしょうか。自治体が主体的に行う取り組みを国が後押しする、といった趣旨で進められてきたと思います。 地方創生の良かったところは、今まで過疎の村は努力していないからそうなった、という一般的な見方に対し、地方は地方で大変で、お金をある程度分配しないといけない、とお金がつくシステムが1つできたことだ。 例えば地域おこし協力隊の制度や、ふるさと納税みたいなシステムも出てきて、大変な地方が努力をすれば若干かもしれないけれど創生できるチャンスが出てきたのはよかった。それまで、「過疎対策」みたいなかたちで片づけられていたから。
■国は交付金の制度設計の見直しを ――その後、地方創生の戦略を策定した自治体に交付金を出す制度が設けられ、今回誕生した石破新政権は予算規模を倍増する方針も示しています。 実際のところ、地方創生の交付金は使いづらい。全部が全部ではないけど、地方に任すと言いながら、任せて失敗したり、無駄にお金が使われたりしないように、国がコントロールしている。「これに当てはまるならいいけど、これから外れたらダメ」という縛りがハナから交付金にある。