韓国の今「ぞっとするほど似ている」 世界配信「イカゲーム」シーズン2が描いた世界 ファン監督「代議制民主主義が危機」
「ソン・ギフンは、ドン・キホーテのような人物だ。かなわないとわかっていながら、風車を倒そうと突進するドン・キホーテの姿は、ギフンの反乱に重なる」 ファン・ドンヒョク監督はこう話した。2021年にブームを巻き起こした「イカゲーム」のシーズン2が、11月26日に世界に向けて配信を開始した。(釜山日報) ■ファン監督「イカゲーム」製作、歯が8本も抜け落ちるほどの苦しみとプレッシャー【写真】 シーズン1と2ともに、脚本から演出までをファン監督自身が手がけている。ソウル・鍾路区のカフェでインタビューした監督は、「シーズン2では前作よりもリアルに細やかに、私たちの社会の様々な側面を表現したいと思った。代議制民主主義の弱点も指摘したかった」と語った。 シーズン1でゲームに優勝して賞金456億ウォンを手にした主人公のソン・ギフン。シーズン2では、主催者を探すために再びゲームに挑むギフンの姿が描かれる。目を引くのは、平凡な小市民だったギフンが、今シーズンでは強い目標意識を持ったキャラクターへと変化したことだ。 ファン監督は、ギフンの性格が変わったのは意図的だったと明かし、「まだ人を信じ、この世界を変えてみようと決意した人が、現実にぶつかって自ら壊れていく姿を描きたかった」と説明した。そしてこう続けた。 「現実の社会では、ギフンのように大義のために闘う人は、どんどん減ってきている。ギフンの行動は、ほかの誰かのために立ち上がる人たちによる、最後の切ない反乱といえる」 シーズン2でとりわけ重要なのが、投票シーンだ。各ゲームが終わるたびに、参加者たちはゲームを続けるか中断するかを〇と×で投票する。ファン監督は「代議制民主主義が危機に瀕していると思う」と言い、「韓国のように大統領が絶対的な権力を握る国において、投票による多数決ですべてを決めるこのシステムは本当に正しいのか、代案はないのかを問いたかった」と語る。 さらに監督は「いまも大統領官邸の前などで弾劾賛成派と反対派がそれぞれ集まり、互いに衝突しないように警察が両陣営を分けている。(シーズン2の)ゲーム会場の宿舎で〇と×に分かれて争う様子と、ぞっとするほど似ている気がする」と続けた。 ▼シーズン3「世の中が最悪の状態に行きつくとどうなるのかを見せるつもり」▼