「健康で長生きする」ためには、何歳になっても社会との接点を持ち続けることが大事|WAmazing代表取締役 加藤史子さん|STORY
WAmazingとパナソニック コネクトにより開発された、顔認証で免税資格を確認し無人で商品を受け渡す自動販売機。この商品受取ロッカーを全国に設置し、訪日観光客向けの免税オンラインショッピングサービスを展開。 訪日観光客は「WAmazing Shop」で商品の購入を予約。駅や空港内などに設置されたロッカー型の自動販売機で帰国前に受け取ることができる。受取ロッカーでは、パナソニック コネクトのセンシング技術を活用した顔認証による本人確認と、パスポートによる免税資格確認を行い、無人での商品受け取りが可能。
――構想を形作るにあたって、一番大変だったこととは? やはり資金ですよね。45億円の資金調達を行ったんですけど、実は、その最中に大きな事件、コロナが猛威を振るったんです。 ――観光業にとっては、大きな打撃ですよね……。 これは本当に大きな事件でした。ただ、当時会社には既に100人ほどの従業員を抱えていたんです。雇用を守りつつ、株主さんにインバウンド需要は必ず回復するということを信じてもらいながら資金調達する。これはなかなかハードでした。 ――出口の見えないコロナ禍で、常に心がけていたこととは? まず社員を不安にさせてはいけないと思っていたので、真っ先に誰一人解雇はしないということを伝えました。それと、今はゼロで、いつ回復するかわからないけれども、構造的にインバウンド需要っていうのは今後増えて、必ず市場が戻ってくるっていうのは信じてもらっていいということをデータを見せながら、社員に説明するようにしました。私自身、リクルート勤務時は、じゃらんリサーチセンターに在籍し研究員だったので、未来予測データというものをかなりチェックしていて、インバウンド需要が必ず回復すると思っていたので。 ――多くの人が色々な意味で不安を抱えていたコロナ禍で、社員の皆さんは加藤さんの頼もしい言葉が心強かったでしょうね。 夢を語るのはいいけれど、衣食住足りてこその夢。弊社には外国人スタッフが3割4割いて、支出の大きい部分が家賃だと思うんです。日本人スタッフとは違い、実家に身を寄せるってこともできないですよね。なので、雇用調整助成金を使うにしても、なるべく給料の手取りが減らない形に。辞めるのは個人の選択の自由だけれども、会社から整理解雇はしないと、2020年4月の時点で宣言していました。 ――企業に属することと、起業することの大きな違いとは? 自由度ですね。自由と責任はセットですけど、最終的には何でも自分で決められるので、こんなに楽しいことはないです。リクルート時代、ものすごく仕事を楽しいと思っていたし、子育てと仕事の両立で、結構時間的体力的に厳しかった時でも、辞めたいなんて思いませんでした。ただ、今思い出すと、出産後、復職して最初一年ぐらい子どもが病気になったり、保育園に預けて泣かれたりすると辛かった。もちろん親子共に、その状況に慣れてきたら辛さも和らいできましたが、それでも日曜日の夜ってちょっと憂鬱だったんですよね。明日から会社だなって、ちょっと頑張る感じ。それが、起業してなくなったんです。コロナ渦だろうとコロナ明けだろうと、月曜日の憂鬱が完全になくなった。本当にやりたいことをやっていたからなんでしょうか、自分でも驚きました。 ――何かに挑戦することに迷っている人に向けて、伝えたいこととは? 私が起業したのがちょうど40歳。そして今、48歳ですが、まだまだやれると感じています。一度きりの人生の中で、38歳から50歳というと、大分お子さんの手が離れてきますよね。そのときにもう一度仕事で自分が何を成し遂げたいのか考えてみてもいいのかなと思います。もし仮に頑張ってみて失敗したとして、何を失うんだろう? っていう。女性の方が身体が丈夫だし、パワーが有り余っている! ――確かに、男性より女性の方が 寿命も長いですよね。 面白いデータがあって、男性と女性の寿命って10年ぐらい違うんですけど、健康寿命だと3、4歳しか違わないんです。つまり、男性がシャキッと生きてる、健康寿命が長いということですよね。ここからは私の仮説なんですけど、理由は社会との接点じゃないかなと思うんです。もしかしてミドルエイジ以降の女性は、健康に幸せに長く生きようとしたら、仕事をしていた方がいいんじゃないかって。仕事を持つ女性たちは、40歳手前くらいまでは、会社員として成果を出さなきゃいけないし、子どもも育てなきゃいけない、旦那の面倒も見なきゃいけない、ハァ~という感じでとても忙しい! でも、その時期を超えて、まだまだやれる! という状態で生き生きと、美しく健康に生きたいとなったら、これは多分仕事ですね。焚き付けちゃった感じですが(笑)、私はそう感じています。