ニック・デ・フリースに見た『ストイックさ』。貪欲なコミュニケーションで最終戦へ向け多くを吸収した平良響/スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ
8月24~25日にモビリティリゾートもてぎで行われた2024全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦。今大会ではF1経験のあるニック・デ・フリースが初参戦するということで、ITOCHU ENEX TEAM IMPULのピットは大きな注目を集めていた。 【写真】モビリティリゾートもてぎのコース下見を行うニック・デ・フリース その傍には、今季第3戦スポーツランドSUGOでスーパーフォーミュラデビューを果たし、7月の第4戦富士で初入賞を飾った平良響の姿があった。11月の第8戦・第9戦鈴鹿で再び19号車をドライブすることが発表されているが、それに向けて積極的にチームやドライバーの動きを確認しようと精力的に行動していた。 「今回はチームとトヨタさんにお願いして、週末の行動もレギュラードライバーと一緒になるようにしてもらいました」と平良。大会期間中はホテルとサーキット間の移動はもちろんのこと、日中はインパルのトランスポーター内に設けられているドライバーズルームで参戦するふたりと一緒に過ごしていた。 デ・フリース用と国本雄資用の無線機をふたつ持ち、常に耳を傾けていたほか、時間があれば星野一樹監督と話し合う姿も。セッションが終わると、号車を問わずにドライバーとエンジニアのミーティングにもすべて参加しただけでなく、時間を見つけては19号車担当の大駅俊臣エンジニア。20号車担当の北井修司エンジニアをつかまえ、気になることは積極的に質問していた。 それこそ、こちらが平良に取材をしたくても、常に誰かと真剣に話し込んでおり、取材するチャンスがなかなか巡ってこないと感じるくらい、この週末をスーパーフォーミュラをより深く理解するための時間に費やしていたのが印象的だった。 「国内最高峰のクラスでエンジニアリング面とか、ドライバーが何を考えているのかとかも……それこそご飯を一緒に食べている時の雑談の中にも、ヒントになるものはいっぱいありました。特にニック選手とはかなりコミュニケーションをとりました。『スタートはF1の時はこうやっていた』とかは、すごくいろんなものを得られる機会になりました」と平良。 実際にスーパーフォーミュラのレースを経験しているからこそ、俯瞰的なポジションから全体を見ることで収穫になったことはたくさんあったという。 「やっぱり、(ドライバーとして)乗っている時は自分の19号車しか見られないですけど、今回は1歩後ろに下がって2台とチーム全体を見られたことで収穫はすごく多かったです」 「SFに乗る上で一番大事なのは下準備だと思います。そこに対してニック選手は初めてのサーキットとクルマというなかで『どういう下準備をしてくるのかな?』というところを見ていました。コースウォークとかを見ていても、性格もあるのかこだわりがすごいなと思いました。そこはストイックだなと感じました」 「また(最初にSFに乗った時に)僕が経験したことはニックも経験しているし、それをどう改善するの?という観点でも見ることができ、すごく勉強になりました」 現時点の予定では10月に富士スピードウェイで開催される第6戦・第7戦(引き続きデ・フリースが出場)も同じようにチームに帯同する模様。「もちろん、自分のためになるように行動しています。鈴鹿の前に富士の2連戦もあるので、そこでしっかり自分のためになるものを吸収して、鈴鹿で活かせられればなと思います」と、平良は目を輝かせていた。 平良はデビュー2戦目となった第4戦富士で力強い走りをみせて9位入賞。チームを率いる星野一樹監督は彼に対してポジティブな評価を持っており「これで彼のチャンスがなくなるわけではないと思う」と強調。「来年どうなるかはまだ分からないですが、ウチで走ったことをきっかけにレギュラーシートを獲得するのに活かしてほしいなと思います」と話していた。 [オートスポーツweb 2024年09月03日]