史上最凶「ジェットコースター相場」を生き抜く方法。今後の株価はどうなる? 賃金、物価への影響は?
■日経平均は年内に4万2000円に では、このジェットコースター相場を生き抜くためには何をすればよいか。再び鈴木氏にアドバイスを求めた。 「節約や買いだめといったことも意味はあるのですが、一番大きな効果があるのは、逆説的に聞こえるかもしれませんが株を買うことでしょう。というのも、今回の一連の動きは為替、物価、賃金にとってはネガティブに働くのですが、株価にとってはプラスとなり、徐々に元の水準まで戻ると考えられるからです。 新NISAでの積み立てをやめないこと。ましてや、今『損失が出た』と売ってしまうのは一番バカげています。株価の上下に振り回されずに、淡々と積み立て続けることが、最も手っ取り早い生活防衛です」 昨年末の段階で「日経平均は2024年に4万2000円になる」と予想し、見事的中させていたマネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏も同意見だ。 「今回の下落は一時的な値動きに過ぎず、基本的に上昇基調は変わらないでしょう。年末までに再び最高値の4万2000円まで戻すとみています」 その根拠は? 「昨年頃から日本株を再評価しようという動きが外国人投資家を中心に旺盛でした。今年の株高もそれに支えられていたわけですが、この流れはそう簡単に逆行しないはず。円安は製造業をはじめ多くの企業にとってプラスに働きますし、インフレも見方を変えれば企業の利益が増えるわけですから、日経平均は着実に上昇を続けると思います。 4万2000円の根拠はシンプルです。現在、日経平均の1株当たり利益は2300円。これが年末にかけて約1割上昇し、2500円になると予想しています。また、これまで日経平均は1株当たり利益の15倍の価格、つまりPER(株価収益率)15倍で評価されていました。ところが最近は16~17倍で買われるようになっています。 私は今後PER17倍という水準が定着するだろうと考えています。2500円の17倍は4万2500円。これが予想の根拠です」 その観点からすると、今は買い? 「おっしゃるとおりで、今はリーマン・ショック以来の絶好の買い場が来ていると思います。日本企業の利益が落ちているわけではないのに、ピーク時から1割以上下落していますからね。 8月14日時点でPERは14.85倍。年初から今年の6月までで15倍割れになったことはなかったので、まだまだかなり安い水準にある。まとまった元手があるなら、これを機に購入してじっくり保有するのがいいでしょう」 大暴落を見ると、つい投資が怖くなってしまう。ところが皮肉なことに、ジェットコースター相場をサバイバルする最良の方法は、恐れることなくコースターにしがみつき続けることのようだ。 取材協力/日野秀規