史上最凶「ジェットコースター相場」を生き抜く方法。今後の株価はどうなる? 賃金、物価への影響は?
ここで気になるのは、今回の乱高下が実体経済にどんな影響を与えるかである。鈴木氏が続ける。 「基本的には、株価の変動が実体経済に与える影響は乏しいです。なぜなら、株価は実体経済の未来を織り込んで動く先行指標だから。 しかし今回に限っていえば、この値動きが実体経済に大きく影響を与えそうです」 というのは? 「今回のポイントは、日銀の方針転換です。 もともと植田和男総裁は、7月31日の金融政策決定会合で継続的な利上げをほのめかしました。それを悲観したマーケット関係者によって、円高株安が進んだのは先ほど説明したとおりです。 ところが日銀はそれを受けて、8月7日に内田眞一副総裁が『市場が不安定な状況で利上げすることはない』と火消しに回ったのです。この修正によって騒ぎが収束したことは良かったのですが、見方を変えれば、円高株安を導いてしまう利上げは今後しづらくなったともいえます。 そのため、150円を中心に140~160円のレンジでドル円は推移するでしょう。つまり、記録的な円安が今後定着するわけです」 なお、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は今後利下げを進めるとみられる。日米の金利差は縮まるため、教科書的には円安の解消に向かうはずだが、「市場は織り込み済みのため、そこまでの動きはないのではないか」というのが鈴木氏の見立てだ。 ■円安が定着し物価は高止まりに 円安が定着する日本で何が起こるのか? まず知りたいのは物価だ。 「費目によっては昨年比で下落しているものもありますから、その意味ではインフレはある程度収まってきているともいえます。とはいえ円安が定着すれば原材料費は高騰しますから、物価は高止まりするでしょう。 身近なところでいえば、ラーメンは1000円の壁を越える店が大多数になるでしょうね。人件費が少なくて済む業態は比較的打撃が少ないと思いますが、コンビニなんかはここから1~2割は商品の価格が上がると思います。また、物流もすでに人手不足が深刻化していることから、通販の送料無料は過去のものになるでしょう」