史上最凶「ジェットコースター相場」を生き抜く方法。今後の株価はどうなる? 賃金、物価への影響は?
猛暑の今、気になる電気代やガス代はどうか。 「原油価格は去年より下がっていますし、電気代もこのままいけば落ち着くはず。ただ、これは中東情勢に大きく左右されます。イランのイスラエル攻撃がどこまでエスカレートするかによるので、エネルギー価格は先が見えません」 注目すべきは、観光に関する物価だ。 「インバウンドが好調なことを受けて、ホテルや航空チケット、観光地の飲食店、百貨店を筆頭とした小売店はまだまだ価格が上がるはずです。先日新宿のドン・キホーテに行きましたが、自宅付近のドンキとの価格の違いに驚きました。今後、日本人は観光地ではなかなか買い物できなくなるのではないでしょうか」 物価高が定着すれば、苦しい生活は今後も続くことになる。そこで問題となるのは賃金だ。 6月の実質賃金は前年比1.1%増と、27ヵ月ぶりにプラスに転換した。このペースが今後も続けば暮らしは徐々に楽になっていくはずだが、鈴木氏は悲観的だ。 「まず、6月はボーナスが含まれることに注意が必要です。政府から賃上げの要請が出ているわけですが、ベースアップできない会社はボーナスだけ上げるわけです。その結果、去年よりボーナス額だけが増えている会社が多く、実質賃金を押し上げたとみるべきでしょう」 でも、これから徐々に賃上げが波及するとも考えられない? 「2024年4~6月期の上場企業の純利益は前年同期比で10%増、同年1~3月期比でも1ポイント拡大しており、業績は好調です。賃上げ余力も十分ありますし、優秀な人材の奪い合いは激化していますから、賃上げは今後も続くと思います。 問題は中小企業と、業績不振の大企業です。ここは賃上げは難しいでしょう。特に製造業では、大企業が下請けを買い叩いて利益を稼ぐ構図が常態化しています。それで自社社員の給料は上げられるでしょうが、賃上げが業界全体に波及することはないと思います」 3月に日産自動車が下請け36社に対し、支払う代金を不当に減額したとして公正取引委員会から勧告を受けていたのは記憶に新しい。これは極端な例ではあるが、大企業が下請けを買い叩くのは日産に限った話ではない。埼玉県で従業員20人程度の金属加工会社を経営する男性はこう漏らす。 「大手自動車会社に部品を納入することはあるが、『どうせ買い叩かれる』と不信感をあらわにする同業者も少なくない。薄利だし、価格交渉の余地もないのでうまみが少なく、大企業から来た案件を断ったこともありますね。 なお、原材料である銅の価格が高騰したにもかかわらず十分に価格に転嫁できていないため、私の会社は現状ベアできていません」 こうした状況が続けば、格差はより広がってしまう。