NY市場サマリー(12日)ドル上昇、利回り上昇 株反落
<為替> ドルが主要通貨に対して6カ月半ぶりの高値を記録した。市場では共和党のトランプ次期大統領によるインフレ高進につながる輸入関税の導入が予想されている。暗号資産(仮想通貨)のビットコインは、記録的な高値から上昇幅を縮小した。 主要通貨に対するドル指数は、0.51%高の105.96。一時、5月初旬以来の高値となる106.17を付けた。 ビットコインは、1.88%高の8万9683ドルと、新たな史上最高値をやや下回る水準となった。トランプ氏は米国を暗号資産とビットコインの世界的中心地にすると公言している。 調査会社デシジョン・デスクHQによると、米大統領選と同時に5日実施された連邦議会選で、上院で多数派を奪還した共和党が下院でも過半数を維持することが確実となった。トランプ次期大統領が掲げる減税や小さな政府への移行が進みやすくなるとみられる。 UBSのFXストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は、「大統領選前からドルの値動きが始まっており、共和党圧勝のシナリオが見えたことが、さらなる後押しとなった可能性がある」と述べた。 一方、ユーロは、0.32%安の1.06215ドル。一時、2023年11月以来となる1.0596ドルまで沈んだ。 ショルツ首相の連立政権が崩壊したドイツで、来年2月23日に解散総選挙が実施される見通しとなった。連邦議会でのショルツ氏の信任投票は12月16日に行われる可能性がある。 英ポンドは0.99%安の1.2742ドル。 英国立統計局(ONS)が朝方発表した7─9月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比4.8%と、2022年6月以来約2年ぶりの低い伸びとなった。 ドルは対円で0.6%高の154.63円となった。先週、円は1ドル=154.715円と3カ月ぶりの安値を付けた。 オンショア人民元は対ドルで7.2378元。豪ドル/米ドルは0.61%安の0.6534米ドルとなった。 NY外為市場:[USD/J] <債券> 国債利回りが上昇した。3連休明けとなるこの日、市場はインフレ上昇につながるトランプ次期大統領の減税や貿易関税政策を再び織り込み始めた。 米連邦準備理事会(FRB)による金利緩和のペースが鈍化する可能性がある。 調査会社デシジョン・デスクHQによると、米大統領選と同時に実施された連邦議会選で、上院で多数派を奪還した共和党が下院でも過半数を維持することが確実になった。 これにより、トランプ氏の政策はおおむね無制限に実施される見通しとなった。 米金利見通しに敏感な2年国債利回りは一時4.367%に上昇し、7月31日以来の高水準を付けた。終盤は8.8ベーシスポイント(bp)上昇の4.342%となった。 米5年債利回りは11.1bp上昇し4.308%となった。 アナリストらは、財政赤字の拡大や減税、関税の引き上げにより、トランプ政権下では政府の借入金が増えると予想している。 フェデラルファンド(FF)金利先物市場ではすでに、FRBの利下げ規模に関する期待が後退している。LSEGによると、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利下げが行われる確率を81%、FRBが緩和策を一時停止する確率を19%織り込んでいる。 2025年については45bpの利下げを織り込んでいる。数週間前は約67bpと予想されていた。 FHNファイナンシャルのマクロストラテジスト、ウィル・コンパーノレ氏は「トランプ氏の政策が実施されればFRBが望むほどの利下げはできないと予想している」と述べた。 指標となる米10年国債利回りは12.9bp上昇し4.437%。30年債利回りは10.3bp上昇し4.581%だった。 イールドカーブはスティープ化。2年債と10年債の利回り格差は9.1bpだった。 米金融・債券市場:[US/BJ] <株式> 反落して取引を終えた。大統領選後の上昇を受けて利益確定売りが出たほか、週内の経済指標発表を前に警戒感が広がった。 主要株価3指数は5日の大統領選後、トランプ次期大統領による減税や規制緩和への期待感から過去最高値を更新していた。 ただ、この日は楽観的な見方が後退。欧州中央銀行(ECB)当局者らが米新政権による保護主義政策が世界経済の成長を阻害する恐れがあると警告したことなどを受け、欧州株は2%下落した。 次期トランプ政権下で好調に推移するとみられた銘柄の一部が売られ、選挙日以降40%近く上昇していたテスラは6%下落した。 前日に3年ぶり高値で引けた中小型株のラッセル2000指数も1.8%下落。債券投資家がトランプ氏の政策を織り込む中、米国債利回りの上昇が株価の重しとなった。 クレセット・キャピタルのジャック・アブリン最高投資責任者は「10年債利回りが株価上昇の逆風になっている。投資家は(トランプ氏の)成長策を歓迎しているが、債券市場は押し返しており、相反するシグナルが出ている」と指摘。「問題は関税、減税、移民制限により、債券市場が無視できないインフレ圧力が生じることだ」と述べた。 投資家はFRBの政策見通しに関する手掛かりとして、13日の消費者物価指数(CPI)のほか、週内に発表される卸売物価指数(PPI)や小売統計に注目している。 ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は12日、FRBの現在の政策スタンスは「やや制約的」との見方を示した。リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、インフレ圧力が高まったり、労働市場が弱まったりすれば、FRBは適切に対応すると述べた。 個別銘柄では、通期の売上高見通しを下方修正したバイオ製薬のノババックスが6%下落。 一方、ハネウェルは3.8%上昇し、上場来高値を更新。アクティビスト(物言う株主)のエリオット・インベストメントが50億ドル超相当の株式を取得したと明らかにした。 米国株式市場:[.NJP] <金先物> 米景気拡大期待の広がりを受けて安全資産としての投資妙味が薄れ、3営業日続落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比11.40ドル(0.44%)安の1オンス=2606.30ドル。前日に続いて、9月中旬以来約2カ月ぶりの安値水準となった。 NY貴金属:[GOL/XJ] <米原油先物> 中国の景気刺激策への失望感や世界の需要見通し引き下げなどを背景とした売りが一巡し、3営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTI12月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.08ドル(0.12%)高の1バレル=68.12ドル。1月物の清算値は0.05ドル高の67.97ドルだった。 原油先物相場は前日、中国の景気刺激策に対する失望売りが膨らみ、3%超下落した。この日朝方は大幅安の後を受けて原油買いが先行し、69ドル台に乗せたところで売りが活発化。相場は一時67.75ドル近辺まで値を消した後、持ち高調整の売り買いが交錯し、小幅プラス圏を回復した。 石油輸出国機構(OPEC)は12日公表した月報で、2024年の世界石油需要伸び見通しを日量182万バレル増とし、先月予想の193万バレル増から下方修正した。25年についても日量164万バレル増から154万バレル増に引き下げた。予想の下方修正はいずれも4カ月連続となる。これを受けてエネルギー需要の先細りに対する警戒感が再燃したため、一時的な売りにつながった。 NYMEXエネルギー:[CR/USJ] ドル/円 NY終値 154.60/154. 64 始値 154.07 高値 154.92 安値 154.01 ユーロ/ドル NY終値 1.0623/1.06 24 始値 1.0617 高値 1.0627 安値 1.0596 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 98*29.0 4.5673% 0 前営業日終値 100*11. 4.4790% 00 10年債(指標銘柄) 17時03分 98*18.0 4.4295% 0 前営業日終値 99*17.0 4.3080% 0 5年債(指標銘柄) 17時05分 99*05.0 4.3153% 0 前営業日終値 99*22.2 4.1930% 5 2年債(指標銘柄) 17時05分 99*18.8 4.3444% 8 前営業日終値 99*24.2 4.2540% 5 終値 前日比 % ダウ工業株30種 43910.98 -382.15 -0.86 前営業日終値 44293.13 ナスダック総合 19281.40 -17.36 -0.09 前営業日終値 19298.76 S&P総合500種 5983.99 -17.36 -0.29 前営業日終値 6001.35 COMEX金 12月限 2606.3 ‐11.4 前営業日終値 2617.7 COMEX銀 12月限 3075.9 +14.6 前営業日終値 3061.3 北海ブレント 1月限 71.89 +0.06 前営業日終値 71.83 米WTI先物 12月限 68.12 +0.08 前営業日終値 68.04 CRB商品指数 279.3859 +0.4704 前営業日終値 278.9155