和田秀樹「褒める・叱る」子どもの未来を育むバランスの妙 子どもにとって最もよくないこと・辛いことは
しかし、小さな子どもが決められたルールに従えないだけで「悪い子だ」と責めて子どもを否定するという発想はやめた方がいいと思います。 そもそも、日本の大人たちは「周りのルールに合わせて行動するのが正しい」とか「目上の言うことが絶対に正しい」という「常識」を疑うことがありませんが、ひょっとしたら、そうやって従順に周りに合わせてきた結果が、今の「失われた30年」につながっているのかもしれないとも思うのです。
それはともかくとして、子どもは小学校に入ればどうしても細かいルールに従わざるを得ないわけですから、それまではもう少し子どもの好きにさせてあげてもいいと思っています。 そして子どもにとって最もよくないのは、親から褒められることもなく、叱られることもないことです。 子どもにとっては、良くないことをした時に叱られることよりも、親に気にかけてもらえない、相手にされないほど辛いことはありません。 ですから、幼児期の子どもに対しては基本的には愛情を持って大らかに見守るという姿勢で過ごしながら、子どもが本当に悪いことをした時にはきちんと叱り、何がよくないのかを教えてあげることが大事です。
和田 秀樹 :精神科医