日本テレビの独占だった馬場のインターナショナル選手権が初めてNET（テレビ朝日）で流れた（1972年６月１日、ジョニー・バレンタイン戦）

「週刊プロレス」40周年を記念し、70年以上に及ぶ日本プロレス史を彩ったチャンピオンたちの足跡と記録を一挙掲載した決定版書籍『日本プロレス歴代王者名鑑　ヘビー級シングル編1』（ベースボール・マガジン社）が好評発売中だ。 【蔵出し写真】ジャイアント馬場（馬場正平）のデビュー戦

日本プロレス歴代王者名鑑　ヘビー級シングル編①

1972年４月３日、日本テレビの看板エースにしてインターナショナル王者だったジャイアント馬場がNETテレビ（テレビ朝日）の「ワールドプロレスリング」に初登場した。力道山時代以来の日本プロレス中継の老舗である日本テレビは、69年にNETが新規参入した際に「NETは馬場の試合は放送しない」という約束を日本プロレスと交わしていた。 しかし、71年暮れにNETのエース、アントニオ猪木が日本プロレスを退団（新日本プロレス旗揚げ）したため、「猪木の代わりに馬場を出してほしい」というNETの要求を受けた日本プロレスはこれを承諾。日本テレビから再三「約束違反だ」という勧告を受けていたにもかかわらず、日本プロレスは強引に馬場の放送に踏み切った。これに激怒した日本テレビは５月12日を最後に、14年近く続いた日本プロレス中継を打ち切った。 ことはそれだけにとどまらず、５月に日本テレビ側から全面支援のもとに独立を促されていた馬場は７月、日本プロレスからの独立、新団体設立を決意。愛着のあるインターナショナル王座を泣く泣く日本プロレスに返上して、日本テレビとともに新たな一歩を踏み出した。馬場の新団体「全日本プロレス」は、９月30日から毎週土曜夜８時、日本テレビで放送開始し、10月21日には旗揚げ戦にこぎつけた。