無名だった、スポーツブランド「On」 意外な戦略で人気拡大、箱根駅伝を沸かすか
日本の長距離界でも「存在感」 注目選手がOnを相棒に
そして日本長距離界では、昨季から駒澤大学のスピードスター・佐藤圭汰選手が着用している。佐藤選手は出雲駅伝と全日本大学駅伝で区間賞を獲得。トラック10000メートルでも同社のスパイクでU20日本記録(当時)となる27分28秒50を叩き出した。 またオンは昨年9月に駿河台大学とパートナーシップを締結。前回の箱根駅伝では駿河台大がオンのユニフォームで出場しただけでなく、駒大・佐藤選手を含む3人の選手がオンのシューズで箱根路を駆け抜けている。 今季の駅伝シーズンはというと、駒大・佐藤選手が故障の影響で出雲と全日本を欠場したが、11月の全日本大学駅伝は5人の選手がオンのシューズを着用していた。その中では国内ではまだ未発売の「Cloudboom 4」というモデルを着用した駒大・篠原倖太朗選手(4年)の快走がインパクト抜群だった。 全日本のエース区間である7区は青山学院大学・太田蒼生選手(4年)と國學院大學・平林清澄選手(4年)が激しい首位争いを繰り広げたが、5位でタスキを受けた篠原選手が猛追。アディダスを履く2人を抑えて、超ハイレベルの区間賞をゲットしたからだ。 また、全日本大学駅伝では3区でトップを突っ走った青学大のスーパールーキー・折田壮太選手(1年)、創価大学の主将・吉田凌選手(4年)という実力者もオンを着用していた。2人が使用していたシューズがまた斬新だった。2024年7月に発表した最新テクノロジーを搭載したアッパー技術「ライトスプレー」で製造された「Cloudboom Strike LS」というモデルだ。 ライトスプレーは自動化されたロボットアームで素材をスプレー噴射することで、接着剤フリーのつなぎ目のないアッパーを実現。超軽量の立体成型のため、極薄でシームレスなつくりで靴紐なしで着用できる。片足のアッパーをわずか3分で製造できて、CO2排出量は約75%の削減になるという。 とにかく足へのフィット感が抜群で、サポート性を発揮。インソールも中敷きもなく、足が直接ハイパーフォームに接するため、エネルギーのロスも少ない。ミッドソールは最新テクノロジーの独自フォームを2層に重ね、カーボンプレートを挟み込むことで、高いエネルギーリターンを実現した。メンズ26.5センチで170グラムと軽量で、ビジュアル面を含めても“未来のシューズ”という雰囲気を持っている。 2025年正月の第101回箱根駅伝では折田選手が登録外となったが、駒大・佐藤選手がエントリーに名前を連ねた。王座奪還を目指す駒大は主将・篠原選手が「Cloudboom 4」、エースの佐藤選手が「Cloudboom Strike LS」での出走が予想されている。また創価大の主将・吉田選手も「Cloudboom Strike LS」で勝負に出る予定だ。 前回はシューズシェア率が1.2%(3人)だったオンが、2025年の正月で話題をさらうかもしれない。
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