子どもからカミングアウトされたら、親はどう声をかけるべき? 当事者の集まりや支援団体、相談窓口は
カミングアウト後のサポートは
Q カミングアウトされた後、家族の他のメンバーへのカミングアウトのサポート、もしくはせずに秘密にしておくなどの対応について、親はどう動くのが良いでしょうか。 A まずは、子どもの希望を聞きましょう。家族全員に知ってほしいと考えている場合もあれば、「おばあちゃんだけは差別的な発言をしているから、伝えないでほしい」など、言いづらい家族メンバーがいる場合もあります。 また、伝え方についても2人きりでいる時に、自分で言いたいのか、その相手に言う場面で親に立ち会ってほしいのか、それとも本人がいないところで伝えても良いのか、希望を聞くと良いでしょう。 トランスジェンダーで、服装や髪型、名前の呼ばれ方が変わっていく場合、秘密にしてほしいと本人が思っても、変化について周囲が疑問を持つことがあります。「最近、女の子みたいな(あるいは男の子みたいな)見た目になったね」などと言われたらどう答えるのかなど、子どもと話してみるのもいいかもしれません。 Q カミングアウト後、学校生活などでのサポートは、どのように子どもの意向を聞くのがよいでしょうか。 A ちょっとした愚痴などを子どもがこぼせるような関わり方ができると良いでしょう。 特に困りごとはなくサポートの必要がない場合もありますが、性別違和のある子どもの多くは、性別でなんでも分けられがちな学校生活の中で、大小なりとも困りごとやモヤモヤを抱えがちです。 「女子スラックスが履きたいのではなく、男子の制服がいい」とか「下の名前で呼ばれる英語の授業がいや」「ひとりで着替えたい」など思っていても、子どもはなかなか言い出せない場合もあります。 実際にはそのようなことはないのですが、カミングアウトしないと困りごとには対処してもらえないと考えていたり、1人にカミングアウトしたら全員に知られてしまうことになると考えていたりする場合もあり、なかなか援助を求めにくいと子どもが感じている場合もあります。 子どもの視点からはすぐに解決できそうに思えないことでも、まずは愚痴でも良いから話せる場所を作ることで、つらい気持ちが和らいだり、解決の糸口が見つかるかもしれません。 家族には話しにくい場合もあるかもしれないので、子どもが安心して話せる相手が複数いることが望ましいでしょう。 Q 子どものカミングアウトを受けて、育て方や離婚、ひとり親家庭であったことなど、家庭環境などが影響したのではと悩む保護者も少なくないといいます。 A 子どもの性的指向や性自認のあり方は、育て方や家庭環境とは無関係です。 また、妊娠中のストレスによって子どもがLGBTになるなどと書かれている本なども時折ありますが、根拠は不明です。たくさんの研究がなされてきましたが現時点で性的指向や性自認の決定因子について、科学的に解明されているものはありません。 Q カミングアウトがない場合でも、親が『自分の子どもはトランスジェンダーかもしれない』と感じた場合、どのように接するべきですか。 A ある子どもがトランスジェンダーかどうかは、第三者が憶測することはできません。 成長するにつれて、非典型的な性別の振る舞いや性別違和の訴えが減っていく子どももいれば、持続する子どももいます。 未就学児でも、「自分の性別は〇〇で、出生時に割り当てられた性別は間違っている」と主張する子もいます。または、幼い頃にはそこまではっきりしておらず、思春期になってから、あるいは成人以降に自覚する人もいます。 いずれの場合にも、トランスジェンダーであるかないかに関わらず、その子が自分らしく過ごせるような子育てができると良いでしょう。 男児のものでも、女児のものでも、お子さんが好きなものをなるべく選んであげてください。最も避けたいのは、その子だけが、いつも自分がほしいものが否定されているという状況です。 自分は大切にされているんだと感じられて、自己肯定感を育めるような環境で見守っていくのが良いでしょう。