オバマ米大統領の「広島」訪問 最大の意義とは?
オバマ米大統領の広島訪問が正式決定されました。5月末に伊勢志摩で開かれるG7サミット閉幕後に被爆地である広島を訪れます。これは米国大統領としては初めてのことになりますが、なぜいままで訪問できなかったのでしょうか。そしてオバマ氏が被爆地を訪れる意義は何でしょうか。元外交官で国連軍縮大使を務めた美根慶樹氏に寄稿してもらいました。
これまで訪問が実現しなかったのは?
5月10日、オバマ米大統領はG7伊勢志摩サミット後の同月27日に広島を訪問することが発表されました。米国の大統領として初めての訪問であり、第二次大戦後の歴史において画期的なことになるでしょう。 今回、オバマ大統領は長崎へは行かれません。厳しい日程の関係でしょうが、長崎も広島と等しく重要です。米国大統領の訪問が実現することを望みます。 オバマ大統領は2009年4月のプラハ(チェコ)演説で、「核のない世界」の実現を目指すと表明しました。その後核軍縮がどの程度進展したかについてはさまざまな見方があり、期待外れだという意見もあります。 しかし、オバマ大統領は現在も核軍縮には強い関心を持ち続けています。このたび広島を訪問することを決断したのはその表れでしょう。 これまで米国の大統領による被爆地訪問が実現しなかった理由の一つは、米国内で、原爆の投下は必要だったという考えが今なお強いからです。米国の退役軍人は、最近オバマ大統領の広島訪問に反対する意見を再度提出しています。 反対や消極意見は元軍人に限りません。オバマ大統領が日本を訪問して天皇陛下と会見した際に頭を下げてお辞儀をしたことについても批判の声が上がりました。米国は偉大だと尊大に構える人は少なくありません。 また、米国の大統領が被爆地を訪問すれば謝罪を求められると懸念して反対する声もあります。 オバマ大統領としては米国内のこのような反対意見と、広島訪問の持つ積極的意義の双方を勘案して決定を下さなければなりませんでした。