【大学野球】明大・戸塚俊美新監督の理想の監督像は「島岡さんです」 伝統の「人間力野球」を継承
たたき上げの象徴
明大が1月8日、府中市内の活動拠点である内海・島岡ボールパークで2025年の練習をスタートさせた。今春から母校を指揮する明大・戸塚俊美監督は「チームの目標は4冠(春、秋リーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)。まずはこの春、天皇杯を奪還し、6月の選手権で日本一を獲得したい」と意気込んだ。 2020年から5年間、前任の田中武宏監督を助監督として支えており、チーム状況はすべて掌握。スムーズに新体制へと移行できた。 理想の監督像を問われると「島岡さんです」と即答した。かつて明大を計37年率いた島岡吉郎元監督。「御大(おんたい)」として親しまれた名物指揮官だ。「島岡さんから教わった最後の世代。つないでいきたい思いがあります」と、伝統である「人間力野球」の継承を宣言。明大は野球以前の寮生活、学校生活を重要視。島岡寮では10年ぶりに復帰した松岡功祐コーチとともに、学生と寝食をともにして「指導、教育をしていきたい」と語る。 なぜ、島岡イズムを継いでいくのか。戸塚監督は自身が歩んだ野球人生と重ね合わせる。 「明大中野高校出身なんですが、(付属高校出身は)、相手にされなかったんです(苦笑)。明治高校出身者はおらず、明大中野の先輩は2学年上にいたぐらい。入学から1年半、練習でボールを触ったこともありませんでした」 長い下積み生活である。レギュラー練習が終わり、グラウンドが空くと、ひたすらファウルグラウンドでサイドノックを受けた。懸命に、泥だらけになって、白球を追う姿を見ている人がいた。島岡監督だった。 「2年夏。突然、島岡監督から『入れ!!』と、オープン戦で先発起用されたんです。ちょうど三塁が固まっていない状況で、この機会を何とかものにすることができました。アピールポイント? 守備です。4年間で打撃練習をした記憶がないぐらいです(苦笑)」 下から這い上がってきた、たたき上げの象徴だ。2年秋からレギュラーとなり、4年時は主将を務めた。86年春の立大1回戦では史上6人目のサイクル安打を記録。泥臭さを前面に出す、島岡御大好みの、努力の人だった。 「一生懸命、やっている学生にはチャンスをくれた。良い意味で、競争もできる。私もそういうチーム、監督でありたいと思います」