「僕だって、この年から孤独死に怯えたくなかった」28歳男性が語った“異常な家族”との壮絶人生
若者は“孤立していないからこそ孤独”になる
内閣府の孤独・孤立対策推進室が発表した令和5年度の『人々のつながりに関する調査』によると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は、20代から高まる傾向にあった。若者はどのような孤独感を覚えているのか。24時間365日チャット相談窓口を運営するNPO法人あなたのいばしょ理事長・大空幸星氏に聞いた。 「匿名チャットに寄せられる声を聞くかぎり、完全に孤立している若者は少ない。家族や友達といったコミュニティはあるけれど、『心配をかけちゃいけない』という思いが先行し、一人で思い詰めて孤独を感じてしまうんです。孤立していないからこそ、気を使って孤独になるというのは目立った傾向です」 そもそも孤独と孤立はどう異なるのか。 「孤独は主観的なもので、極論を言えば、家族や友人に看取られたとしても、当人が内心で孤独を感じていれば孤独死となる。一方で、家族や地域とのコミュニケーションがない状態で物理的に一人で亡くなった場合は孤立死と言うべきでしょう。ただ故人が孤独だったかどうかは見えにくいですし、なかには望んで一人で亡くなった方もいるはずで、すべてを“孤独死”でくくるのはよくない。問題は、望んでないのに孤独に陥っている人たちにどう社会的繋がりを担保していくかだと思います」
調査すべきは若者の孤独死の「具体的要因」
’23年、WHOは孤独・孤立の問題解決に向けた「社会的つながりに関する委員会」を設置。世界的に見て、日本の孤独対策は進んでいるのか。 「日本は進んでいるほうです。世界で2番目に早く孤独・孤立対策の大臣を置いていますし、孤独・孤立対策推進法があるのは現状では日本だけ。ただ、若者の孤独の原因が何なのか。その理由は家庭、健康、経済事情、労働環境など無数にありますが、すべてが明らかにされているわけではないため、自殺の原因究明を進めなくてはいけません」 今年7月21日、産経新聞は東京都監察医務院への取材により、’18~’20年に「孤独死」した若者(10~30代)が、東京23区で計742人確認されたと報じた。だが、大空氏はこの報道に疑問を呈する。 「『若者の孤独死』とセンセーショナルに取り上げていますが、この数字の多くは自殺です。部屋で亡くなっていないなど、これに計上されない若者もいるわけで、この切り取り方に何の意味があるのかなと。そんなことを発表する暇があったら、まだ多くが未解明の若者の孤独死の具体的要因を調査すべきでしょう」 現在、若者の相談窓口は広まっているものの対応する側は逼迫している。若者の孤独死は“対症療法”から“予防”へと舵を切るべきときなのだ。 【あなたのいばしょ理事長・大空幸星氏】 チャット相談を行うNPO法人あなたのいばしょを設立し、約100万件の相談に応じる。「ABEMA Prime」などにレギュラー出演中。著書に『望まない孤独』(扶桑社)など 取材・文/週刊SPA!編集部 ―[[若者の孤独死]知られざる実情]―
日刊SPA!