英国で人気の自動車部品フリマが「濃厚すぎた」件 マニアも驚く「オートジャンブル」に潜入
各地で開催される自動車関連フリーマーケット
英国人は値切り交渉を嫌う。だが、自動車部品・用品のフリーマーケットとなると、売り手と買い手が得体の知れないパーツの山を挟んで向かい合い、お互いに手加減など忘れてしまう。 【写真】古いクルマを大事にするからこそ! 英国人らしいフリーマーケット【オートジャンブルの様子を写真で見る】 (5枚) 自動車関連の部品や用品、グッズをメインとするフリーマーケットのことを、英国では一般的にオートジャンブル(autojumble)と呼ぶ。 「君のお金は全部欲しいから、妥当な値段を提示してよ」 交渉の対象となっているのはトラックのクラクションで、それを売りつけているサイモン・デイヴィーさんは、自動車とカー用品のディーラーである。 対する客は、クラクションがちゃんと鳴るかどうかを証明してほしいというので、デイヴィーさんはバンのバッテリーに接続し、耳をふさぐほどの爆音を鳴らした。 「20ポンド出すよ」と客が言う。「30ポンド」とデイヴィーさんは答える。「25ポンドで取引成立だ」と相手が言い返す。2人は握手を交わす。 モータースポーツのメッカ、サマセット州ヘインズ自動車博物館の駐車場で開催されているオートジャンブルへようこそ。6月の土曜日の午前9時半、強風が吹き荒れ、もちろん雨も降っているが、すでに100のブースが営業を開始しており、来場者数は増加の一途をたどっている。 午前中いっぱいで、ざっと650人が来場した。ヘインズ自動車博物館でのオートジャンブルは昨年に続いて2回目。出品者はプース出店料30ポンド(約5700円)、入場料は1人5ポンド(約950円)。 これは今年英国で開催される数多くのオートジャンブルの1つに過ぎない。ビューリーで開催されるインターナショナル・オートジャンブルが最大かつ最も有名だが、その姉妹イベントであるスプリング・オートジャンブルは初開催を迎えたばかりだ。 今回のヘインズのオートジャンブルに出店した1人、元整備士のベン・ヘイウッドさんは、前の月にビューリーに出店していた。「ビューリーではいつもうまくいくから、ヘインズにも参加してみようと思ったんだ」 同じくヘインズに挑戦しているグレアム・バンターさん。自動車愛好家でクラブレーサーでもある彼は、フォードの部品に信頼を寄せており、宝物の中には1個40ポンド(約7600円)のピントのシリンダーヘッド2個と、1個20ポンド(約3800円)のインレットマニホールド5個がある。 「マニホールドに損傷がないのは珍しいので、売れるでしょう」と彼は自信たっぷりに言う。