世界発!豚骨スープでバイオ燃料 CO2削減へ“福岡のエジソン”と呼ばれる男が「夢のお告げ」で開発 【福岡発】
‶豚骨”は安定的な原料確保のため
一般的に植物由来の油から作られることが多いバイオ燃料だが、西田さんは、原料の安定的な確保などを考え、福岡を代表する食文化、豚骨ラーメンのスープに着目した。 「ラーメンのスープのラードです。これを溶かして苛性カリ(水酸化カリウム)とメタノールを入れれば、バイオ燃料になる」と西田さんは実際の製造工程を説明した。世界で初めて豚骨スープから作られたバイオ燃料が誕生したのだ。 豚骨と聞いて、まず気になるのは独特の臭いだが、‶豚骨バイオ燃料”を入れたトラックの排気ガスの臭いを嗅いでみても、いわゆる豚骨臭は一切しなかった。「粒子が綺麗な踊りをする。あれ見たら楽しい。ああ、きょうは喜んどるな、とかね」と西田さんは表情を崩す。
‶原料”提供店にも経費削減メリット
現在はラーメン店のほか、居酒屋などの飲食店約2800店舗から豚骨スープの油や天ぷら油を回収しているという西田さん。油の再利用は環境だけでなく、協力する飲食店側にもメリットがある。「博多一幸舎」の土田翔太副店長は「一番はコストの削減」だと話す。 飲食店では通常、油を処分する際、産業廃棄物として業者に費用を支払っているが、西田商運は無料で回収しているからだ。土田さんは、「環境づくりに貢献できると思いますし、日本に留まらず世界にも広がっていけばいい」と期待を寄せている。 今、西田さんが建設しているのは、バイオ燃料専用工場だ。これまでにかけた設備投資の費用は4億円。「コストがかかっても、とにかく環境を次世代にっていう夢を持ってやってきたから」と話し、今後、他社から‶豚骨バイオ燃料”のノウハウを聞かれても「特許の考えはなく、教える」と西田さんは断言した。「バイオ燃料で誰でもみんながCO2削減に取り組んで欲しい」というのだ。 「夢のお告げ」で開発した‶豚骨バイオ燃料”。西田さんの環境を守るという強い願いはお告げのような夢を見た日から全くぶれていない。 (テレビ西日本)
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