池袋の「宮城ふるさとプラザ」、19年の歴史に幕…東日本大震災後には交流拠点の役割も
多くの宮城県出身者らに愛された県のアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」(東京・池袋)が15日、閉店し、池袋での19年の歴史に幕を下ろした。午後6時の閉店を約60人の常連客らが見守り、別れを惜しんだ。後継店は、県物産振興協会が来年1月に日本橋茅場町に約1年限定の仮設店舗をオープンし、その後は別の場所に開設するという。(吉田一葵)
15日は開店からひっきりなしに買い物客が訪れ、閉店セールで1割引きになった商品を購入。名残を惜しむ客に県職員や店員が「今までありがとうございました」と呼びかけ続けた。
午後6時。最後の客の退店を見送ると、全店員が店前に立ち、18年間勤めた大蔵国孝店長が「皆様のご愛顧、支援に心より感謝申し上げます。(後継店でも)宮城の出身の方々の心のよりどころになれるよう頑張ります」と目を潤ませながらあいさつ。多くのファンから温かい拍手が送られる中、シャッターが閉じた。
同店は、県産品発信拠点として2005年7月にオープン。1階では、牛タンやかまぼこ、地酒や白石温麺(うーめん)など名産品が並び、2階にあるレストランでは牛タンを楽しめた。JR池袋駅そばの好立地で年間50万人以上が来店し、今年11月末までの総売り上げは約85億6000万円。東日本大震災後には、県産品の販路確保や募金活動に取り組むなど、交流拠点の役割も果たしてきた。
一方、ネット販売の普及で、月1100万円の家賃が店舗販売額に見合わなくなるとして、県が閉店を決定。同店を運営する県物産振興協会が自前で後継店の準備を進めてきた。
閉店を見守った仙台市泉区出身で東京都板橋区の会社員女性(39)は「ふるさとが懐かしくなった時に、ふと足を運んでしまう場所だった。次の場所でも必ず愛し続けます」とエールを送った。
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同協会は、日本橋茅場町の仮設店舗の改修費などに充てるために「クラウドファンディング(CF)」で寄付を募っている。目標額2000万円に対し、寄付額は15日午後9時時点で、約8割の1611万円。CFサイト「READYFOR(レディーフォー)」の専用ページで27日まで受け付けている。