【阪神】藤川監督、坂本は「かめばかむほど…」捕手の起用法に言及 掛布OB会長と新春対談<下>
阪神・藤川球児監督(44)と掛布雅之OB会長(69)=スポーツ報知評論家=が新春スペシャル対談を行った。ともに就任1年目となる投打のレジェンドが打倒巨人へ、強力タッグを結成。FA宣言の末に残留した大山らの気になる打順に投手陣の構想や期待の若手、捕手の起用プランなどたっぷりと語り合った。(取材・構成=島尾 浩一郎、小松 真也) 掛布OB会長(以下、掛) 「やはり、守りの要は捕手。坂本、梅野あたりを併用するという考えですか」 球児監督(以下、球)「坂本と梅野はもちろんですが、栄枝と中川。中川という捕手にも経験を積ませたい(※1)。打撃が素晴らしいんです。1年のうち、たとえば20試合でも30試合でも1軍のベンチに入れたい。入れないと育たないです」 掛「分かりますね。あの緊張感の中で出なくてもね」 球「いつ出るか分からない、控えから始まるというのもすごく重要です。梅野は盗塁阻止率も含めて、スローイングはやっぱり一番いい。他の追随を許さないという姿も見たいです」 掛「ブロッキングもいい。ベテランの域に入ってきているけど、だからこそ競わせることも大切」 球「梅野の場合はキャンプの段階から急がなくていいと思っていて。私は梅野と現役時代から一番長くいるので、彼の良さを知っています。彼は彼らしく輝くものをいつも通り見せてくれれば」 (続けて) 球「ただ、私が20年に現役を引退して4年間、チームから離れている間に日本一になったシーズンは梅野が故障離脱している間に坂本がマスクをかぶって非常に勝利を収めました(※2)。ということは坂本という捕手はかめばかむほど味が出る。3連戦で3試合出ると、どんどんカラーが出てくる捕手なのかもしれない」 掛「僕は監督が話されたように、3連戦を一人の捕手に任せた方が3連戦のリードがあると思います。今後のために、負け試合でわざと打たせてみるとか。3連戦の組み立てを大切にしていきたいということですか」 球「ジャイアンツの阿部監督はご自身が捕手で、さらに捕手出身の村田総合コーチ、実松バッテリーコーチもいる。そこのポジション(捕手の選手)が入れ替わっても自分の野球ができる。それは経験があるポジションの強みだと思うんですよ。私は投げる側として、いつも同じ捕手が良かったというのもあるんですけど、外から見たら掛布さんのおっしゃる通り、『ここに、こんだけ来るのかよ』という配球の回収もしないといけない」 掛「現役時代の谷繁捕手に『お前、シーズン中の配球の入り方が変わったよな』と聞いたら『分かりましたか。3連戦を考えて入り方を変えました』と、ぽろっと言ったことがありました」 球「それで捕まりだしたら、捕手をコロッと代えて、打者がアレッとなる。データ野球ですごく配球の色が出るので、投手の見え方まで変わる。いいものは継続しながらですけど、新しいものに挑戦もしなきゃいけない。その点で、坂本は重要な扇の要と考えています」 掛「それは分かります。守る野球の中で、坂本の名前は挙がってきますよね」 球「あとは二塁の中野。巨人の吉川君に走攻守で勝ってほしい」 掛「いろいろお話を聞くと、監督の頭の中には1年間を戦うイメージはできあがっていますね」 球「戦ったことはありませんが、そこまでが僕の担当だと思っています」 掛「最後に決断ですね。ゲームの中で一番、見えない難しいところ。頑張ってください。応援しています」 球「ありがとうございます。常勝タイガースになるために、OB会長にはキャンプにも来ていただいて、選手たちにいろいろアドバイスもお願いいたします」 掛「僕で良ければ。大丈夫です。勝ちます!」 ※1 中川は京都国際から21年ドラフト7位入団。1軍出場なし。 ※2 梅野が左手首骨折で8月14日に登録抹消後、坂本は35試合で先発マスクをかぶり、11連勝に導くなど22勝12敗1分け。 〇…藤川監督は新たな座右の銘を「球進一歩」にすることを明かした。「岡田前監督が村山実さんの『球道一筋』から1つ抜いて『道一筋』に。それを優勝を2回して『球道一筋』にされた。僕は入団会見の時に『村山実さんみたいな投手になりたい』と言って、岡田前監督に育てていただいたので、2つ抜いて『球進一歩』にしました。今年の(シーズン)チケットにもその言葉が入ると思います」。優勝を果たせば、恩師のように一文字戻すことを視野に入れ、就任1年目のシーズンに挑む。
報知新聞社