「人食いバクテリア」で妊産婦5人が犠牲に、注意すべき初期症状・感染対策を医師が解説
調査内容への受け止めは?
編集部: 日本産婦人科医会による調査の内容への受け止めを教えてください。 馬場先生: 日本の妊産婦死亡数は、年間30~60人前後で推移しています。一般的に、妊産婦死亡の原因としては、産後出血・妊娠高血圧症候群・羊水塞栓症の3つが、ほぼ半数を占めています。 今回の報告では、2023年7月~2024年3月までのわずか「9カ月」の間で劇症型溶血性レンサ球菌感染症によって5人もの妊婦が死亡しており、そのインパクトは大きいと言えるでしょう。妊婦は比較的若い年齢であることに加えて胎児という新たな命も抱えており、死亡数をいかに下げていくかは周産期医療の重大な課題となります。 国立感染症研究所によると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の今年の国内患者は6月30日までに1144人に上っており、これまでに最多だった昨年の941人を既に上回っています。日本だけでなく、世界的にも劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者数は増加傾向であるため、今後も注意が必要です。
編集部まとめ
日本産婦人科医会は、2023年7月~2024年3月の期間で「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」に感染した妊産婦5人が亡くなっていたことを調査で明らかにしました。劇症型になるケースは稀なので必要以上に恐れる心配はありませんが、手洗いやうがいなどの対策をとることが重要です。
監修医師:
馬場 敦志 先生(宮の沢スマイルレディースクリニック) 筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。