「ふるさと住民登録」で関係人口1千万人 地方創生会議委員提言、二地域居住へ第2住民票
都市住民が特定の地域へ継続的に関わる「関係人口」の創出、拡大を国が進める中、都市と地方の双方に生活拠点を持つ「二地域居住者」を「ふるさと住民」として登録する制度の創設が、政府の地方創生会議で委員から提言された。いわば「第2の住民票」を交付し、住民税の分割納税なども視野に入れたもので、新たな地方創生政策として注目される。 提言したのは、関係人口の提唱者として知られる産直アプリ運営会社「雨風太陽」(岩手)の高橋博之代表(50)。11月29日に東京都内で初会合が開かれた政府の有識者会議「新しい地方経済・生活環境創生会議」で提起した。 この日は、15人の委員が過去10年間の地方創生政策の成果と課題を議論した。高橋氏は、元気のある地域は「開かれた地域社会に外部の人間が労力だけでなくノウハウやアイデア、知恵、スキル、ネットワークをつなげて、内発的発展を遂げているところが共通点だ」と指摘。 その上で「いかに外部の人材、つまり関係人口の『けた』を変えて、都市と地方を行き交う人たちを国が責任を持って主導し、地方へ送り込むかが非常に重要だ」と述べ、居住地以外の市町村に「ふるさと住民」として登録できる制度の創設を提案した。また、二地域居住先の自治体への財政措置として、住民税の分割納税なども併せて提言した。 座長に選ばれた元総務相で日本郵政社長の増田寛也氏も意見を述べ、高橋氏の提案に言及して「国が二地域居住を法律で後押しするのなら、関係人口をきちんと制度化することが必要だ」と指摘した。 増田氏は今年8月の産経新聞とのインタビューで、二地域居住の環境整備として双方に住民票を持ついわゆる「二重住民票(第2住民票)」の必要性を提起していた。 高橋、増田両氏の発言要旨は次の通り。 ■高橋博之氏「ふるさと住民1千万人で未来は変わる」 人口が減少していく中で、関係人口を増やすことは、まさに国でなければできない役割だ。その具体的な取り組みとして「ふるさと住民登録制度」をぜひ検討していただきたい。 この制度は、居住地以外の市町村に「ふるさと住民」として登録できるようにするもので、関係人口を可視化することだ。そこは人材情報を蓄積するものにもなってくる。