カマラ・ハリスのファッションに見る、新時代の女性リーダー像
ヒラリーとハリスはともにパンツスーツを愛用しているが、その着こなしには明確な違いがある。当時、ヒラリーへの批判はファッションセンスにまで及び、メディアからは、いつも同系色のパンツスーツばかり着ていると批判され、民主党のある男性候補からは「あなたのジャケットはアスベストみたいだ」とやゆされたこともあった。夫ビル・クリントンの妻としてファーストレディを務めた頃には、ギンガムチェック柄やふんわりしたフレアのワンピースなどフェミニンな装いも好んでいたが、自ら政治家として歩み始めると女性らしさを排したファッションが増えた。 一方ハリスは、パンツスーツ姿の中に、フェミニンな雰囲気を残すことで「女性らしさ」を保ち続けている。
パールジュエリーに込められた黒人女性としての誇り
前職の司法長官時代には、信頼性を印象づけるようなタイトスーツや落ち着いた色のワンピースを着ることが多かったが、大統領候補としての活動が始まってからは、明るい色や大胆なパターンをとり入れ、視覚的にインパクトを与えるスタイルが増えている。主張しすぎないアクセサリーを加えることで、全体のスタイルを効果的に引き立たせる。なかでも “パワー・パール”と呼ばれる真珠のアクセサリーは、クラシカルな印象を与えると同時に、彼女が大学生だった当時、黒人系女子学生のための社交クラブ「アルファ・カッパ・アルファ(AKA)」のメンバーであったことの証にもなっている。
新進ブランドを着こなし、自国のデザイナーを応援
お気に入りのブランドはアメリカを代表する「アルチュザラ」、「キャロリーナ・ヘレラ」に加え、ヨーロッパの「クロエ」や「ドルチェ&ガッバーナ」、「セリーヌ」などである。 かつてミシェル・オバマ元大統領夫人は、自国のデザイナーが手がけたドレスを外交の舞台で積極的に着ていたことで知られる。国のブランド力を高めるための重要なイメージ戦略として、ミシェルは自身のファッションでアメリカの文化とスタイルを世界にアピールした。
「カマラ・ハリス大統領」が誕生した暁には、彼女もまたファッションを通じて国際的な舞台で自国の影響力を高めることが期待される。彼女がどのようなブランドやデザイナーを選ぶのか、そのスタイルがどのように政治や社会に影響を与えるのか、今後の動向から目が離せない。