【中学受験】第一志望を目指すも、不合格。「上位クラスに固執する必要はなかった」「助っ人がいれば結果は違ったかも」渦中では気づかなかった母の気づき
終わってみれば「上位クラスに固執する必要はなかった」
西田 小5の後半くらいには、宿題の丸写しが発覚するなど、息子が結構追いつめられていた時期がありました。小学校の作文とかまで書けなくなって、少し鬱っぽくなっていたんだと思います。東京と神奈川の二月入試をメインターゲットにした塾に通っていたのですが、埼玉の学校を目指すなら、無理してその塾で上位クラスにいる必要もなかったなって、あとから思いました。 おおた そこに別の方法があるとしたら、どんな方法ですか? 西田 上位クラスに入ると試験の内容も違います。できる子はそれこそ御三家とかを狙うようなレベルでやっているので、ちょっといい成績をとってしまうと、御三家用の特別講座みたいなのに呼ばれたりとかして、別の校舎まで行って模試とか講座を受けたり。時間もとられるし、内容も難しかったので、埼玉受験しか考えないなら必要なかったかなと。下のクラスで、伸びやかに基礎をしっかり付けてあげたほうが良かったんじゃないかなと思います。下のクラスからでも埼玉県のトップ校には合格していますから。 おおた そうですか。もう少しのびのびやってればじゅうぶんだったのなかと。 西田 テストの量とかも違うので。 おおた だけどやってるときって一つでも上のクラスって思っちゃうじゃないですか。 西田 そうですね。ちょっとその渦に飲み込まれる必要がなかったなって言うのはね。 おおた でも終わんなきゃわかんないですよね。やってる最中にそれを判断するというのはちょっと無理な話ですもんね。 西田 そうですね。一回目だと難しいです。 おおた たとえば、当時のお母さんの前に、いまの自分が現れて、「あんた、そんな無理して上のクラスに入らなくてもいいから、下のクラスでのびのびさせなさい」って言われても、「絶対イヤ。何言ってんの?」ってきっと思いますよね。 西田 そうですね。思いますね。 おおた だけど、終わってみれば、「なーんだ」って思えちゃうっていうのが、中学受験の不思議なところで。立場が変わると視野が変わるというわかりやすい例だなと思います。 ■西田さんの中学受験の全容は『母たちの中学受験』へ 入試直前・本番期の西田さん親子に何が起きたのか、それをどうやって乗り越えたのか……。中学受験を終えたときにこみ上げてくる、後悔、反省、「たられば」の数々……。中学受験が終わってからようやくわかる「納得できる合格」のためにいちばん大事なことは何か? その全容は、12月4日発売『母たちの中学受験』(小学館)で明らかになります。 【記事執筆】 おおたとしまさ|教育ジャーナリスト 教育ジャーナリスト。リクルートでの雑誌編集を経て独立。数々の育児誌・教育誌の企画・編集に係わる。現在は教育に関する現場取材および執筆活動を精力的に行っており、緻密な取材、斬新な考察、明晰な筆致に定評がある。テレビ・ラジオなどへの出演や講演も多数。中高教員免許をもち、小学校教員や心理カウンセラーとしての経験もある。著書は『勇者たちの中学受験』『ルポ名門校』『ルポ塾歴社会』『ルポ教育虐待』『不登校でも学べる』など80冊以上。
記事構成/HugKum編集部