【スクープの裏側】政界の“ドン”に迫る凶弾…金丸信・自民副総裁銃撃事件の瞬間を撮影「過去の政治家刺殺事件が…」
2022年の安倍晋三元首相銃撃事件に続き、2023年には岸田首相も襲撃されるなど、政治家を狙ったテロ事件が相次いで発生している。 【画像】金丸氏を銃撃した決定的瞬間 2つの事件では、スマホの普及により、居合わせた人が多くの「瞬間映像」を撮影しており、そのとき何が起きていたのかを我々は知ることが出来た。この映像を元に、再発防止策などを検討する事も出来るのだ。 では、スマホなど影も形もない時代の重大事件は、どうだったのか? 今から32年前、当時「政界のドン」と言われた金丸信・自民党副総裁が講演中に銃撃された。銃撃の瞬間を撮影した報道カメラマンは、一部を撮影すれば事足りた「きょう3回目の講演」であるにも関わらず、あえて最初から最後までカメラを回した。そのため、スクープ映像をものにすることが出来たという。 そのカメラマンの脳裏には、別の事件の一場面が浮かんでいた。
会場に轟く3発の銃声
1992年3月20日、栃木県足利市の市民会館ホール。当時の自民党の参議院議員を「励ます会」に金丸信・自民党副総裁(当時)が出席していた。 当時の映像を見ると、金丸氏はホールの壇上中央にある演題で次の選挙への支援を求める演説を行っていた。 画面中央に大きく映る金丸氏が「来たるべき衆議院選挙でこの人を勝たせてください!お願いをして私の挨拶といたします」と述べて演説を締めくくると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。 その直後に画面はズームアウトして会場全体が見える映像になると、「パン、パン、パン」という大きな音が立て続けに3発響いた。 演台の正面のステージ下には、金丸氏に向かって何かを持った手を伸ばしているような人物が映っている。 銃声の直後、その人物の周囲には、講演会の関係者とみられれる人たちが殺到し、壇上の金丸氏の周囲には多数の警護のSPと見られる人物が金丸氏を押し倒すように集まり、身を挺して守っていた。 この緊迫の一部始終を撮影した、当時フジテレビの若手カメラマンであった矢部雅之さんに話を聞いた。