お笑い芸人・今くるよさん逝去 死因の「膵がん」の前兆となる初期症状を医師が解説
黄疸が出た場合は、消化器内科へ
白目の部分や皮膚が黄色い、尿の色が濃い、便が白っぽいなどの症状がある場合は黄疸が出ているかもしれません。黄疸は胆汁という脂肪を分解する消化液の流れが妨げられることで起こります。 胆汁は肝臓から胆嚢、総胆管を経て膵臓の中を通って十二指腸に流れるので、膵がん(特に膵頭部がん)の他、肝臓がん、胆嚢がん、胆管がん、十二指腸乳頭部がんなどでも認めます。 胆汁がうっ滞した状態が続くと、肝臓や腎臓に負担がかかってしまい、細菌が感染して胆管炎になるリスクがあるため、早急に胆汁の流れを回復する必要があります。黄疸が出た場合はできるだけ早く消化器内科を受診してください。
受診・予防の目安となる「膵がん」のセルフチェック法
・腹痛やお腹の張りが続く場合 ・黄疸がある場合 ・強い腰背部痛がある場合 ・体重減少がある場合
膵がんを早期発見するポイント
膵がんは60歳頃から増加しますので、年1回は腹部超音波検査をすることをおすすめします。膵がんのリスク因子として、膵がんの家族歴、糖尿病、肥満、慢性膵炎、喫煙、大量飲酒などがあります。 膵がんは近親者に膵がんが多いほど発生する確率が高くなることが知られています。そのため、両親や兄弟が膵がんという方は、若いうちから年1回の健診の際に腹部超音波検査や血液検査で腫瘍マーカーを追加するのも一つの手と考えます。 また糖尿病や慢性膵炎を指摘されたことのある方も、定期的に腹部超音波や腫瘍マーカーの測定をおすすめします。日常生活では、まず禁煙と節酒が重要です。食事は野菜から食べること、高脂肪食は控えめにし、腹八分目を意識してください。
「膵がんの初期症状」についてよくある質問
Q.膵がんを疑う初期症状が現れた場合、背中のどの辺りが痛みますか? 飯田先生: 膵臓は胃の後ろから身体の左側に伸びる臓器です。膵がんの痛みは腰の上あたりから、正中左側にみられます。 Q.膵がんを発症すると尿にどんな特徴が現れますか? 飯田先生: 膵頭部がんで胆汁の流れが妨げられた場合、尿の色は濃くなります。
編集部まとめ
膵がんは、初期症状の出にくい病気です。だからこそ、自分のリスクを把握して、少しでも早期発見できるように定期的な健診や診察をうけることが大切です。 また、日常生活で、持続する腹痛やお腹の張り、黄疸、背中の強い痛み、体重減少、急な口渇などの症状を認めた場合は、まずは近くの内科を受診することをおすすめします。血液検査である程度分かることがあります。気になる症状を放って置かないようにしましょう。
【この記事の監修医師】 飯田 綾子 先生(医師) 2009年奈良県立医科大学卒業。大阪市立大学医学部附属病院で初期臨床研修後、大阪市立総合医療センター消化器内科レジデントを経て、大阪市立大学大学医学部附属病院肝胆膵内科で学位を取得。現在は患者さんの不安に寄り添い、何でも相談できるかかりつけ医を目指して、大阪市内のクリニックで高血圧や糖尿病など主に慢性疾患の外来や在宅診療を行っている。消化器病専門医、肝臓専門医、総合内科専門医、認定産業医の資格を有する。
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