新垣結衣さん・早瀬憩さん、映画「違国日記」インタビュー お互い違う人間、距離感を保ち「どう寄り添えるか」
人づきあいが苦手な少女小説家と人懐っこい姪の共同生活を描いたヤマシタトモコさんの漫画『違国日記』(祥伝社)が映画化されます。年齢も性格も生まれた環境も異なる2人が、互いを理解できず葛藤しながらも向き合っていく日々を描いた本作で、大嫌いだった姉を亡くした高代槙生役の新垣結衣さんと、姉の娘・田汲朝を演じた早瀬憩さんにお話を聞きました。 【写真】新垣結衣さん・早瀬憩さんインタビューカットと「違国日記」の場面写真はこちら
あらすじ
交通事故により目の前で両親を亡くした15歳の朝(早瀬憩)は、ぼうぜんとした状態のまま葬儀に参列する。たった一人残された彼女に親類縁者が心無い言葉を投げかける中、朝の母親・実里(中村優子)と気が合わず、姉妹でありながら全く交流のなかった小説家の槙生(新垣結衣)が朝を引き取ると申し出る。対照的な性格の槙生と朝は、なかなか理解し合えない寂しさを抱えながらも、丁寧に日々を重ね生活を育むうちに、家族とも異なるかけがえのない関係を築いていく。
優しさやあたたかさを感じた原作
――ヤマシタトモコさんの原作を読んでどんなことを感じましたか? 新垣結衣(以下、新垣): 私は元々友人に勧められて読んでいたのですが、登場人物たちそれぞれに抱えているものがあって、時にそれがフラッシュバックしてヒリっとしながら日々を過ごしていく様子がリアルに描かれているなと思いました。悩みや抱えているものって、いきなりどうにかできるわけではないですよね。それを「抱えたままでもいいんだよ」といってくれているような優しさや、お互い違う人間だけど、寄り添うことで一緒にあたたかい時間を過ごしていけるということを作品から感じました。 早瀬憩(以下、早瀬): 私も一人一人違った悩みを抱えながらも、一生懸命生きている姿に心を打たれました。作品のメッセージにも「分かり合えなくても、寄り添えることはできる」とありますが、分かり合えないからといって「他人」と割り切り諦めてしまうのではなく、いろいろな人との出会いがあって、そこでちょっとゴタゴタもしながら寄り添って成長していくストーリーは、読んでいて心が救われるようなあたたかい気持ちになれる作品でした。 ――試写を見て、新垣さんと早瀬さん以外に槙生と朝は考えられないと思いました。「早瀬さんだったから、新垣さんだからここまでできた」という気持ちや、そう感じたシーンはありましたか? 新垣:最初に本読みをした時に、憩ちゃんのお芝居がとても好きな気持ちや、この作品にかける思いをひしひしと感じてすごく頼もしかったし、現場に入るのが楽しみでした。撮影をしている当時は憩ちゃんも朝と同じ15歳。そのみずみずしさを全身で感じたし、憩ちゃん自身も朝のようにピュアでまっすぐな人なので、こちらも清らかな気持ちになりました。 「もしかしたら槙生が朝と一緒にいる時もこういう風に感じるのかな」と思う瞬間があったし、実際に完成した作品を見ても、憩ちゃんが演じる朝ちゃんだからこそ伝わってくるものがたくさんありました。その時の憩ちゃんが演じる「朝」という役をこういう形で残してくれて、目の前で一緒にお芝居させてもらえて本当にありがとうという気持ちです。 早瀬:撮影の最初の頃、私が少し人見知りしてしまったのですが、結衣さんの方からたくさん話しかけて、ずっと笑顔でいてくださったんです。そのおかげで私も自然に心を開くことができてとてもありがたかったし、撮影中は常に「槙生ちゃん」としていてくださるから、私も朝としてその場に立っていられたので、結衣さんのおかげで朝を演じることができたと思っています。