ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場! 新開発の「次世代スポーツハイブリッド」は最高のパワートレインだった!? “操る喜び”追求した新機能「S+ Shift」の走りはいかに?
新型プレリュードに搭載予定の「Honda S+ Shift」がスゴい!
続いてはHonda S+ Shiftの体感です。今回は何とまもなく発売予定といわれる新型プレリュードでの試乗でした。 ただ、このモデルのパワーユニットは次世代e:HEVではなく、「シビック/ZR-V」に搭載される現行e:HEVをプレリュード用に最適化してHonda S+ Shiftをプラスしたもの。要するに現行e:HEVの最終進化系であると同時に、次世代e:HEVを繋げる“リリーフ”的な存在といえます。 新型プレリュード(プロトタイプ)のエクステリアは偽装テープで覆われているものの低くワイドなスタイルはシビックのクーペ版という匂いはなく独自性があります。個人的にはどことなくプジョー「RCZ」を思いだしましたが、スペシャリティ感はシッカリあります。 インテリアは最新ホンダ共通の水平基調のコクピットですが、独自のメーター周りとコクピット感覚を強めた高めのセンターコンソールがより低さを強調。シフトはボタン式でドライブモードスイッチやHonda S+ Shiftなどが集約されています。 まずは比較用の「シビックe:HEV」(2リッター搭載の中型用「SPORT e:HEV」)に乗ります。実は先日1.5リッターターボ+6速MT「シビックRS」と乗り比べたのですが、同車はMTを操る喜びはあるものの、総合的に見て「どちらが気持ちよいか?」と問われると、筆者はe:HEVのほうが上だと感じました。 そんな現行の中型用e:HEVが環境性能と走りのバランスが世界一だと思っているので、次世代e:HEVへのハードルはおのずと高まります。
まずはノーマル(Honda S+ ShiftはOFF)の状態で乗ります。電動車感が強くエンジン始動もほぼ気にならないのはシビックと共通ですが、“元気”な印象のシビックに対してプレリュードは“大人”な印象。 例えばアクセルを踏み込んだ際にエンジン回転数をあまり上げることなく加速していく感じで、まるで「大排気量NA」のような余裕すら感じたほどです。そういう意味ではプレリュード=スペシャリティカーのキャラクターにピッタリな制御になっていると言えます。 続いてHonda S+ ShiftをONにして走らせてみました。すると、これまでどちらかというと黒子に徹していたエンジンが声高らかに主張を始めます。 そのフィーリングは「フルバランスされたスポーツエンジン」に近いもの。具体的には、繋がっていないはずのエンジンと駆動系がまるで繋がっているかのような直結感や、回すほど力が湧き出るようなエンジンの伸び感、操作に対して阿吽の呼吸でダイレクトに応じてくれるレスポンスが、シビックの時以上にリアルに感じられるようになったのです。 実際に乗っていると「本当に同じシステムなの?」と思ってしまったくらいです。 それに加えて、エンジン回転数と完全同期した心地よいサウンド、より攻めたシフト制御(パドル操作を行なうとシフトショックはないがシフト感は感じる)、さらに俊敏に反応するメーターなど、視覚や聴覚の緻密な連動もパワートレイン全体の気持ちよさをアシストしているのは言うまでもありません。 ただ、残念なのは実際のエンジンのレッドゾーンは6000rpmなのに、実際に走らせているとフィーリング的には「もっと回させてよ!」と錯覚してしまうところです。 さらに減速時のダウンシフト制御も驚いた点のひとつで、現行はシステム上アクセルOFF→エンジン停止→アクセルON→エンジン始動となるので再加速時のエンジン発電電力を駆動力に活用する時にズレが生まれ、それが意のままの走りを阻害していましたが、Honda S+ Shiftは走行状態に応じたエンジン回転数を維持(まるでガソリン車のよう)してくれるので、再加速時にもラグなく加速体制に入れます。 要するにハイブリッドなのに細かいアクセルコントロールに応えてくれます。 実際にON/OFFを比べると、普通のエンジンとスポーツエンジン並みに応答が異なります。さらにドライブモードによって出力特性やシフト制御が明確に異なるのも面白いところです。 「コンフォート」はレジェンドのような粘りのあるトルク特性であえてシフトダウンさせずジワーッと加速させる特性。 ノーマル改め「GT」はトルクと伸びのバランスと邪魔をしないシフト制御で、個人的に感じたのは5代目「プレリュード タイプS」に搭載された直列4気筒DOHC-VTEC「H22A」のフィーリングをより精緻に、より洗練させた特性。 そして「スポーツ」は応答性・レスポンス上等かつ常にトルクバンドを外さないシフト制御で、トルクはシッカリ確保されている小排気量のスポーツといった、本来はあり得ない特性と、3つのモードの違いが明確です。 一般的にモード切替は買った時は使うけど、結局ノーマルに落ち着くというケースが多いですが、これはシーンに応じてリアルに使い分けたくなります。 これはモーター制御だからできる拡張性ですが、これもある意味で「クルマ屋らしいSDV」の答えのひとつと言えるでしょう。 もちろん、中には「ギミックなんて話にならん」という人もいるでしょうが、ここまで本気でやるとそんなことはどうでも良いと思えるくらい。正直、今回試乗してみてガソリン車だろうがハイブリッド車だろうが気持ちよければ何でもいいと素直に感じました。 そういう意味で言うと、Honda S+ Shiftの本質は「アナログの良さをデジタルでピュアに再現」なのかなと思いました。 ちなみにノーマルの状態は「ハイブリッドの中では最高」ですが、Honda S+ ShiftをONにすると「パワートレインとして最高」と言える魅力があります。 恐らくピュアな内燃機関が大好きの人でも納得するだけでなく、思わずニヤッとしてしまう要素を持つハイブリッドと断言できます。 現行のユニットがベースでもこれだけの驚きがあるのですから、中型用の次世代e:HEVと組みわせたらどうなるのか、期待値はさらに高まります。