先発を託された3年目の成長株(Bリーグ・横浜ビー・コルセアーズ 松崎裕樹)
2-13でアルバルク東京に圧倒されたラスト2分
今シーズンから新たに横浜ビー・コルセアーズの舵を取るラッシ・トゥオビヘッドコーチは37歳と若い。2022年よりフィンランド代表を率い、昨年のFIBAワールドカップで日本と対戦したのは記憶に新しい。パッション溢れるベンチでの立ち振る舞いは、若い選手が多い横浜BCにマッチしている。 アウェーで仙台89ERSに開幕2連勝し、満員の横浜国際プールに戻ってきた。しかし、ホーム開幕戦はアルバルク東京に2連敗。2戦目は68-79と11点差で敗れたが、残り2分まで66-66の同点だった。トゥオビヘッドコーチにその2分間を振り返ってもらった。 「本当に細かいところの差だった。我々のアイデンティティであるパスをしっかり回して得点を取る部分でターンオーバーになり、本当に細かいところでミスが起きて、終盤は2点しか挙げられたなかった。A東京の方が遂行力が高く、そこの差で敗れた悔しい試合だった」 同点に追いつく66点は、ゲイリー・クラークの落としたシュートに反応し、松崎裕樹がねじ込んだ。その直後、逆転を目指す横浜BCはキーファー・ラベナを投入し、同点弾を決めた松崎はベンチに下がる。 横浜BCでの1年目に、チャンピオンシップ初進出した最高のシーズンを送った。しかし、2年目の昨シーズンは思うように勝ち星を得られず、チャンピオンシップ進出を逃す真逆の経験をする。悔しさとともに課題を見つけながら、松崎は勝負の3年目に向かって充実したオフを過ごしてきた。 「昨シーズンまではシュートタッチのところで本当に苦しみました。チームのスタイルへのアジャストがなかなかできなかったことが反省点。まずはスリーポイントの確率を上げるためにシュートフォームを変えるなど、できる限りの改良点に取り組んできました」 トゥオビヘッドコーチの信頼を勝ち取るべく、「疑問に残ることは全部聞いた」と松崎は積極的にコミュニケーションを取り、不安をつぶす作業が実を結ぶ。開幕4戦はいずれもスタメンで起用された。しかし、勝負どころでの交代に対し、「選手としてはクロージングでもちろんプレータイムをもらいたいです。悔しさもありました」というのが正直な心境である。 「でも、コーチの采配を信じているので、あの場面で交代したことに対する不満は何もないです。次は絶対に自分もそういう役回りが必ず来ると思っています。そこで何をできるかを証明し続けて、そのメンバーにふさわしいと思われるような選手になっていきたいです」 逆転を託されたラベナは、「ベストなシュートを打つ気持ちで入りました。しかし、A東京も本当に強いプレッシャーをかけてきて、最終的にマイク(コッツァー)がターンオーバーをしてしまいました。でも、誰も彼を責めることはなく、もちろん同じミスはもうしないと思っています。チーム全体として、やりたいことができなかった2分間になってしまいました」とゴールが遠のく。対するライアン・ロシターは「相手のピック&ロールディフェンスが意図的に自分にスコアさせようと守っていたので、勝負どころは積極的にゴールを狙って点数を獲りにいった」と2分間で9点を挙げ、13-2と一気に点差を開いたA東京が勝利をつかんだ。 この2分間以外は互角の戦いを繰り広げ、横浜BCがリードする時間帯もあった。リバウンドではA東京の方が15本多く、シュート成功率も上回っていただけに抜け出すチャンスはもっと多くあったはずだ。デイニアス・アドマイティスヘッドコーチは「横浜BCのディフェンスが非常に激しかった。フィジカルなディフェンスに対し、自分たちがオフェンスをはじめたい場所からプレーさせてもらえなかった」と苦戦した原因を挙げる。勝機を見出すべく、「後半はスクリーンの角度や質を向上させたことで、オフェンス全体の遂行力も高まっていった。第4クォーターの勝負どころでしっかりと狙いを定め、ボールシェアしてエクスラパスからアシストにつながる良い状況でシュートを打てていた。外れても、オフェンスリバウンドに入るチャンスがある。そういった良い流れでオフェンスを終えることができ、最終的に4クォーター終盤で勝ち切ることができた」と攻守に渡って遂行力を高めたことで差をつけた。